(2001/5/2)

物理学会での結晶成長の発表

学術会議に結晶成長学専門委員会というのがあって目下その委員をおおせつかっている.専門委員会で関連学会の中で結晶成長関係の発表がどのくらいあるか調べてみようということになり,日本物理学会の2001年春の年次大会の概要集を眺めてみた. 物理学会では素粒子関係以外の分野は次の13の領域に分かれている. 結晶成長が入っているのは領域9に分類されるところであり, このなかの「結晶成長」のセッションのほとんどと「表面界面ダイナミックス」などのセッションの一部,あわせて30件弱が結晶成長関係の講演である. そのほかの領域の内容にも関連した講演がある. 結晶成長に関係したいくつかのキーワードを表題にふくむ講演数を調べたところ以下のようになっていた. ただし結晶成長と関係のない講演は除いてあり,( )内は他項目との重複数である. キーワードに「ステップ」を入れたのは私の個人的関心からだが,適切な項目のようだ.「核生成」といったものなど幾つか調べたのだがほとんど出てこない.

キーワード 領域1 領域2 領域3 領域4 領域5 領域6 領域7 領域8 領域9 領域10 領域11 領域12 領域13 合計
結晶成長 0 0 0 0 0 1 0 0 2 0 0 2 0 5
固化or融解 0 0 0 0 0 3 0 0 0 0 0 1 0 4
成長 0 0 1 3 0 0 1 1 8(3) 0 2 0 0 16(3)
ステップ 0 0 0 0 0 0 0 0 9(3) 0 0 0 0 9(3)
合計 0 0 1 3 0 4 1 1 16 0 2 3 0 31

この表から読み取れるように,領域9以外に,領域4 (半導体、メゾスコピック系...),領域6 (金属、超低温...) ,領域11(統計力学、物性基礎論...) ,領域12(高分子・液晶、化学物理...) などに数件ずつの講演があり,私は全体では約50件程度ではないかと推測している.物理学会全体での講演総数は3700件ほどである.

次に物理学会の発行する欧文雑誌「Journal of Physical Society of Japan (JPSJ)」の掲載論文中に結晶成長の論文がどのくらいあるかを調べた. 分野の分類は と分かれているが,当然,結晶成長関連論文のほとんどが 6 に入っている. 1992年から2001年4月までの論文(総数は3万件くらいではないかと思う)のうち表題やキーワードに入っている言葉を見たものが次の表である.

項目 論文表題 キーワード
crystal growth 13 14
crystallization 6 5
solidification or melting 11 9
growth 47 53
step 15 20
合計 92 101

「step」からは関係のない論文は除いてある. 「growth」には結晶以外の,バクテリアコロニー,ナノチューブなども入っているので合計数にはあまり意味がないかもしれない. JPSJ は結晶成長のメインな雑誌ではないから論文数も多くはない. 物理屋は国内ではJapanese Journal of Applied Physics, 国外ではSurface Science, Physical Review, Journal of Crystal Growth などにも投稿しているのではないだろうか?


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