■本講義の目的とねらい
自然現象を理解するには莫大な数の少数種粒子からなる系の振舞いを知らねばならない.最初に巨視的系の示す普遍的法則を示し(熱力学),次にそれらを微視的立場から理解する(統計力学)ための基礎概念を紹介する.
■授業内容
§1. ミクロカノニカル・アンサンブル
[1.1] 位相空間とエルゴード仮説
[1.2] リュービルの定理
[1.3] ミクロカノニカル・アンサンブル
[1.4] ミクロカノニカル・アンサンブルの応用
§2. カノニカル・アンサンブル
[2.1] カノニカル・アンサンブルと自由エネルギー
[2.2] 理想気体
[2.3] アンサンブル平均としての物理量
[2.4] ミクロカノニカル・アンサンブルとの関係
[2.5] ヴィリアル定理と等分配則
§3. ボルツマン統計の応用
[3.1] 調和振動子
[3.2] 常磁性
[3.3] 2準位系と負の温度
[3.4] 内部自由度のある気体
§4. グランドカノニカル・アンサンブルと相平衡
[4.1] グランドカノニカル・アンサンブルとグランドポテンシャル
[4.2] ゆらぎ
[4.3] 相平衡とギブスの相律
[4.4] マクスウェルの規則
[4.5] 質量作用の法則
§5. 量子統計の基礎(講義の進度による)
[5.1] フェルミ粒子とボース粒子
[5.2] 理想気体の分布関数
[5.3] 分布関数とエントロピー
■成績評価の方法
学期末に試験を行なう.他に小テスト,レポートなどを課すことがある.
■教科書
講義ノートの要約を配布する.このノートの原型は,グライナー,ナイゼ,シュテッカー「熱力学・統計力学」(シュプリンガー)に沿って作られた.
■参考書
長岡洋介:「統計力学」(岩波書店)
久保亮五:「大学演習 熱学・統計力学」(裳華房)
ランダウ・リフシッツ(小林他訳):「統計物理学」(岩波書店)