2003年4月18日
第2回.定常状態にある系の部分系を記述する密度行列としてカノニカル分布の密度行列が最もよさそうな近似であることの説明.Bloch方程式,エントロピーの定義.
統計力学を基礎付けるのに,Boltzmann流の長時間平均というのはあまりに非現実的,Gibbs流の統計集団はあまりに空想的.
密度行列の考え方をしてはじめてGibbsのアンサンブルの意味が分かる気がします.
出席者は27名.
先週は日誌を書き忘れ,次週の講義に前日に記入.けっこうたいへんだ.
Landau と von Neumann(AIPより)
2003年4月11日
第1回.部分系の量子力学的な記述法である密度行列の説明.
出席者は24名(ほかにM1が2名).今年は1時限になってしまったからかもしれないが昨年に比べ出席者が大幅に減った.ちなみに第1回目の出席者数は,2000年度26人,2001年度28人,2001年度39人.昨年は最後まで出席者が多く驚いたが,今年が平年並みなのだろうか? 素粒子関係の人が少ないのが気になる.
密度行列を導入した Landau と von Neumann の写真を載せます(昨年度と同じだけれど).
授業後の質問: 座標表示で書いたのが行列とは...
yi(x)は多粒子系でも良いのか?
答え: 座標の値の順に要素が並んだ連続無限個の成分を持つ行列です.
あまり深刻に考えても分からないので,簡単な場合を楽観的に一般化して理解してください.
yi(x)は,多粒子系の波動関数です.
xとひとつの文字で表したが,3N個の座標のすべてを意味しています.
授業後の質問: 密度行列というものの物理的な意味は何でしょうか?オペレーター
r を定義でき、エルミートであることから何らかの物理量として
見てもいいと思うのですが.
答え: 密度行列は物理量というよりは波動関数の一般化です.
ランダウ=リフシッツの「量子力学」や「統計物理学」,Feynmanの「Statistical Mechanics」に講義で紹介したものよりもう少し詳しい(?)説明が載っていますので参考にしてください.