(最終更新: 2009/07/28)
単位は出席とレポートをもとに出します.
遅刻者の出席は1/2にしか数えないので初めから出てください.
講義ノート
講義のpdfファイルです(暫定版,誤りは講義をしながら直す予定).
-
第1章,第2章 (pp.1-27) (2009/04/17,2009/05/15微修正)
-
第3章(pp.28-43) (2009/05/15,2009/06/12微修正)
-
第4章(pp.44-53) (2009/06/12,2009/06/26修正)
-
第5章(pp.54-67) (2009/06/26,2009/07/28修正)
-
全体(pp.1-67) (2009/07/28)
授業についての質問,意見などは
へ
2009年7月24日
第13回.揺動散逸定理,Kramers-Kroenigの関係,現象論的モデル.
一応線形応答の話を終えた.
拡散方程式やLangevin方程式の話が出来なかったのは残念だが,来週の都合がつかないのでやむを得ない.
気づいた講義ノートのミスプリなどは,そのうち直します.
出席8人.
Onsager と 久保(AIPより)
2009年7月17日
第12回.ランダウ理論での一般化感受率.物理量の平衡への緩和,応答関数エネルギー吸収.
非平衡の話は線形応答とブラウン運動を準備したが,時間的に終わらないので,線形応答だけになりそう.
出席9人.
来週が最終回です.
成績は出席と2回のレポートによってつけます.
Landau (Nobel財団の写真).
2009年7月03日
第11回.Isingスピン系の平均場近似,ランダウ理論の解説.自由エネルギー汎関数の形,秩序変数,感受率.
平均場近似としてBragg-Williams近似を説明した.
この形式は磁化の関数としての自由エネルギーを導入するので,自己無撞着条件を使うより,相転移の理解には適当だ.
そのあと,相転移の現象論の解説.ランダウは,ある年代以上の人にはバイブルとも呼ばれていたランダウ=リフシッツ理論物理学教程の著者です.
1962年に超流動ヘリウムの研究などでノーベル賞を受賞した.
この年,交通事故で再起不能となる.
私のランダウに関する記憶は,小学校の高学年のとき,世界的な科学者がが交通事故で4回死からよみがえったというような新聞記事を覚えている(もちろん偉大な物理学者であることなどは知らなかった).
高校の修学旅行で九州の汽車の中でランダウの死亡記事を読んだことも覚えている.
中学生のときに読んだ「相対性理論入門」は,数学としてはピタゴラスの定理と平方根だけを使った,すばらしい啓蒙書で,物理が好きになるきっかけのひとつであった.
来週は出張のため休講とします.
丸1日かかるナントカ委員会のための出張(前回授業を理由に欠席したので今回は行かざるを得ない).
次回は7/17だが,この日も学内の会議と重なる(こちらは会議をサボれてうれしい).
補講は,進度を見て必要なら,試験期間中にやるかもしれない.
出席6人.だいぶ少ない.
2009年6月26日
第10回.磁性体の相転移.Isingスピン系の平均場近似.スピン空間と実空間の次元の効果.
概念的には,磁化を独立変数にとった自由エネルギーを見るのがわかりやすい.
形式的には,空間的に非一様な外場をかけて自由エネルギーをもとめ,それからルジャンドル変換によって磁化密度の汎関数としての自由エネルギーを定義することもできる.
スピン空間が2次元で回転対称性がある場合には,磁化の関数としての自由エネルギーの形は,すり鉢-->Bourgogne葡萄酒壜底-->Bordeaux葡萄酒壜底と変化する.
第4章のノート,古いものを載せていたことがわかりましたので,とりかえます(epsの図がうまく出なかったところもjpgにかえた).
若干不適切な記述がありましたので,次回修正します.
来週はランダウ理論をやって,そのあとは,非平衡系の話に移る予定.
出席10名.
Flory (Nobel財団の写真).
2009年6月19日
第9回.フラクタル構造を持つ高分子の話と秩序状態の例としての磁気相転移の話の序論.
理想鎖高分子と実在高分子のモデル.高分子の自由エネルギーから広がりを求める話.
フラクタル性が散乱実験でどのように見えるか.
磁気相転移の序論.
出席10名.
補足: < aiaj > =(1/3)a2dij の導き方.たとえば極座標で,ax = a nx = a sinq cosf , ay = a ny = a sinq sinf , az = a nz = a cosq として,立体角で平均してみれば分かります.
2009年6月12日
第8回.フラクタルの説明と高分子の理想鎖モデル.
私が「フラクタル」という言葉を初めて聞いたのは1970年代の松だったと思う.
流行はとっくに過ぎ去ったと思うが,フラクタルの概念自身は物理の中に定着している.
統計力学や固体物理の教科書に書いてなくても,意味ははっきりと知っておいたほうがいい概念である.
結晶表面のナノサイズのクラスターから宇宙の大規模構造までフラクタルの現われる「物」はけっこう多いのだから.
出席者10名.
2009年5月29日
第7回.固体(結晶)での散乱実験の結果がどういう特徴を持つか,液晶の説明.
結晶の説明は物性物理学の講義で3年生のときにやっている人がかなりいるはずなので繰り返しになっていると思う.
最小限の基礎的なところを解説した.
続いて液晶の話.例年のことだが携帯電話やパソコンの液晶ディスプレイはひとり残らず持っているのに液晶の構造はみんなあまり知らない.
しかし最近の液晶ディスプレイは単純な液晶の光学効果では説明できない.
ハイテク製品はどんどんブラックボックスになっていく.
出席者12名.
後ろに立っているのがAlder.
2009年5月22日
第6回.液体の2体分布関数の説明.剛体球系の結晶化相転移.
講義ノート(3.5)式の[ ]の中とg(r)は違うとの指摘があった.
たしかに違っているが,定数なので,これを微分した等式に誤りはありません.
出席者13名.
2009年5月15日
第5回.汎関数微分の説明と外場のもとでの分配関数の汎関数微分を使って密度分布 < n(r)> や密度相関関数 < n(r)n(r')> が書き表せること.
前回のnotationの不適切なものを訂正.
出席者は10名.
なぜか素粒子,宇宙関係の研究室の人が誰もいなかった.
今日の講義の内容に相当するところの例題を2回目のレポート問題とした.
来週提出してください.
今日欠席した人も出してかまいません.
2009年5月08日
第4回.レポートの解説.各種相関関数,汎関数微分の説明.
構造関数,構造因子,密度相関関数,密度ゆらぎの相関関数,2体分布関数などの関係を解説.
一様な系での2点関数のFourier変換なども丁寧に説明しておいた.
出席者は16人.
構造因子を導入した van Hove.
2009年5月01日
第3回.密度行列と物理量の計算法,ゆらぎについての公式と統計力学と熱力学の関係の復習.
統計演算子とtraceを使うと,統計力学のいろいろな式がずっと見通しよく書ける.
グランドカノニカル分布で H と N が可換なのになぜ粒子数が変わるのかとの質問があった.
粒子数が変わるのは系内の H に支配されるダイナミクスではない環境との粒子の交換です.
平衡系の統計力学では粒子出入りのダイナミクスは問題にせず,あくまでも確率的な現象として扱います.
出席者は19人.
レポートをざっと見た.
(提出者15人.全部できなくても出してください.)
3番の正解者が少ない.
ほとんどの誤りは密度行列が時間変化しないとしたもの.
これで正解と思っているのはまずいな.
上の解答例をよく見ておいてください.
Bloch と Gibbs
2009年4月24日
第2回.エントロピーの定義.統計力学でカノニカル分布の密度行列が最もよさそうな近似であることの説明.
.不可逆仕事の定理.
統計力学を基礎付けは常に謎ではあるが,少しずつ理解は深まっているようだ.
Boltzmann流の長時間平均もGibbs流の統計集団も現実性には疑問が残るだろう.
密度行列の考え方をしてはじめてGibbsのアンサンブルの意味が分かる気がします.
ミクロカノニカル分布と波動関数の対応を最初に考えたのは周期系の定理で有名なBlochらしい.
出席者は15名.
以前に担当した時の半分くらいで寂しいが,質問も多く熱心である.
Landau と von Neumann(AIPより)
2009年4月17日
第1回.部分系の量子力学的な記述法である密度行列の説明.
出席者は21名.
5年前にこの講義をもったが,その時の出席者が24名.
Webには「今年は1時限になってしまったからかもしれないが昨年に比べ出席者が大幅に減った.
ちなみに第1回目の出席者数は,2000年度26人,2001年度28人,2001年度39人.
昨年は最後まで出席者が多く驚いたが,今年が平年並みなのだろうか? 」
との記述がある.
今年は過去最低ですね.
しかし授業後の質問も多く,熱心に聴いている人が多いのでやりがいがある.
密度行列を導入した Landau と von Neumann の写真を載せます(昔と同じだけれど).
授業後に質問されて気付いたが,部分系でのtraceと全体系でのtraceについて誤ったことを言った.
次回訂正します.