2005年7月19日
第14回.フォッカープランク方程式での平衡分布が実現する条件,多変数への拡張,平均値の変化,古典場の時間発展とゆらぎ.
古典場の時間発展については1次相転移や界面の運動についてなどいろいろ話したいことはあったが,短時間では出来ないので簡単なお話だけにしました.
出席者26名(素粒子宇宙7名,物質理学24名,他学部1名).
今日で最終回とします.
活字版の講義ノートを作ろうと思っていたのですが,時間がなくなかなか実現できませんでした.
平衡状態の相転移については大野君がTEXでノートをとってくれたものがあり,ブラウン運動からあとの部分はある程度つくったので,できれば簡単なものでもここに載せたいと思います.
時間がないのですぐにはできません.
2005年7月12日
第13回.ランジヴァン方程式の一般化,保存系と非保存系での場に対するランジュヴァン方程式,確率分布の時間発展--フォッカープランク方程式
ランジュヴァン方程式からフォッカープランク方程式を導く.ポイントはランダム力について2次の項が1次の項に化けること.
出席者36名(素粒子宇宙7名,物質理学28名,他学部1名).
あと2回やる予定と言ってしまったが,準備中のノートの中身からすると,うまく進めば後1回で終わるかもしれない.
他のテーマに入るのも中途半端なので進度によって判断します.
2005年7月5日
第12回.ランジュヴァン方程式によるブラウン運動の解析,ランジヴァン方程式の一般化
ランジュヴァン方程式を使って速度の相関関数や平均自乗変位の大きさを計算し,熱平衡で等分配則が成立する条件から揺動散逸定理導かれる.
ポール・ランジュヴァンは磁性やブラウン運動の研究で有名なフランスの物理学者.第2次世界大戦中ナチスの収容所から脱出しレジスタンスで活躍した.
出席者38名(素粒子宇宙7名,物質理学29名,他学部2名).授業期間にできる講義は後2回だが,昨年の記録を見ると「大学院の講義は8月6日までやるようにとのお達しがあった」と書いてある.
残念ながら8月一は出張があり,試験期間にやってもあと3回.
何をやるか検討中だが,次回はランジュヴァン方程式の一般化とフォッカー・プランク方程式の話をやる予定.
2005年6月28日
第11回.EinsteinのBrown運動の理論
今日から非平衡系の話しに入る.初めの予定を大幅に変えてゆらぎの理論から入ることにする.
今年は奇蹟の年100周年物理年なのでアインシュタインの業績を追うことから非平衡系の話しに入ることにする.
1905年の論文を解説し,その歴史的意義を説明した.
来週は,Langevin方程式の話の予定.
出席者32名(素粒子宇宙7名,物質理学24名,他学部1名).
2005年6月21日
第10回.2次元流体と2次元クーロン系の対応.誘電率と電荷対の分布関数の関係,それらの繰込みと長距離での振舞い.KT転移の転移温度と物理量の転移点近傍での振舞い.
最後は少し駆け足になったが一応KT転移を終えて,平衡状態のそう転移の話はおしまい.
例年だと1次相転移の界面ダイナミクスの話をやるのだが,今年はその前にブラウン運動の話をしようと思う.
あと4回しかないので例年やっている話は出来ないが,少々飽きてきたのではじめの予定と変えます.
(レポートのテーマは「授業内容予定」にあるものでもこれからやる話でも,どちらでもかまいません.)
さて準備を進めないと...
出席者31名(素粒子宇宙5名,物質理学21名,他学部1名).
2005年6月14日
第9回.回転対称性を持つ系の相関関数,KT転移,2次元xyモデルでの渦,流体系との対応とエネルギー.
磁性体,流体,クーロン気体と説明の都合に応じて対象が次々変わるので大変だが,それぞれ一番分かりやすい系で議論しているつもり.
あと5回しかないのでどこまでいけるか心配.次回で平衡状態の話は終わりにして,その次はせっかくの機会なのでアインシュタインの話でもしたい.
昨日の教室講演会ではブラウン運動の話がプログラムからすっぽり落ちていたので一言コメントしたが,準備が間に合えばそれからはじめよう.
出席者31名(素粒子宇宙4名,物質理学25名,他学部2名).やはり夜ビールを飲みすぎで疲れが出たようだ.
2005年6月7日
第8回.臨界指数の決め方,秩序変数の対称性と系の空間次元,クロスオーヴァ,連続対称性を持つ系の特徴
くりこみ群は相転移の臨界現象を理解するアイデアが面白いが実際にその筋書きを実行するのはなかなか大変.
次回やる予定のKT転移はそれがうまくいく例です.
出席者37名(素粒子宇宙7名,物質理学28名,他学部2名).
Sign upした人の数は多いのだが,講義開始時に座っている人の数は大分減っている.
2005年5月31日
第7回.ブロックスピン変換,繰込み群の考え方,1次元Isingモデルでの繰込み群,2次元IsingモデルのMigdal変換.
K. Wilsonは繰込み群を使った相転移の研究で1982年のノーベル物理学賞を受賞した.
繰込み群の考え方はいろいろな分野で応用されている.
出席者33名(素粒子宇宙6名,物質理学25名,他学部2名).
2005年5月24日
第6回.臨界現象の起きる条件(Gunzburg criterion)のつづき,スケーリング仮説と臨界指数相互の関係.
臨界現象の具体的な例の紹介(気体液体相転移,超伝導と超流動転移の比較).ブロックスピンの話(途中まで)
きょうはスライドを使ったがスクリーンの準備に手間取り時間を大分ロスした.
おかげで,宇宙実験の話と,レポートのpdf化の話を忘れてしまった.
宇宙実験お話は次にスライドを使うときに一緒にしよう.
出席者33(素粒子宇宙4名,物質理学27名,他学部2名).
講義で使った図:
Heの比熱,
超流動比熱
,
BCS比熱,
気液臨界点
.
磁化scaling,
臨界指数表
,
2005年5月17日
第5回.ゆらぎの空間的相関の現象論的理論.臨界指数,臨界現象の起きる条件(Gunzburg criterion),
連続体の自由エネルギーを使って相転移を議論することは1893年のファンデルワールス論文にはじまる.
1958年のカーンらの理論で復活.
ランダウの現象論やギンツブルグ・ランダウ理論で有名になり,ウィルスンがくりこみ理論を展開することでその重要性がゆるぎないものとなった.
きょうから教室を変更.
黒板が狭く,高いところにあるので疲れるが,座席には余裕がある.
注意されてわかったが,あぶなく講義時間を大幅延長するところだった.
レポートの電子化について相談,来週までにpdfファイルが作れそうかどうか調べてきてください.
出席者37名(素粒子宇宙6名,物質理学29名).
2005年5月10日
第4回.熱平衡でのゆらぎ,Gauss分布と熱力学的現象論,ゆらぎの空間的相関を考えるための現象論的自由エネルギー.
出席者39名(素粒子宇宙8名,物質理学30名,他学部1名).普通は連休明けで出席者がこの頃から減り始める.
今年は不思議なことに単調増加 !
来週から講義室が地下の理学寛大講義室に変わる.
スライドが使えるようになるので便利だが,あの部屋は黒板が小さいので板書に苦労しそう.
2005年4月26日
第3回.いろいろな相転移と秩序度(Isingモデル,Heisenbergモデル,合金,液晶,超伝導など),相転移の現象論(Landau理論).
これからランダウ理論の紹介をする.
ランダウは言うまでもなく,ある年代以上の人にはバイブルとも呼ばれているランダウ=リフシッツ理論物理学教程の著者です.
1962年に超流動ヘリウムの研究などでノーベル賞を受賞した.
この年,交通事故で再起不能となる.
素粒子論,宇宙線,原子核理論から,超伝導,超流動,磁性,結晶,プラズマなどあらゆる分野でランダウXXXと呼ばれす仕事を残した万能の天才.
私のランダウに関する記憶は,小学校の高学年のとき,世界的な科学者がが交通事故で4回死からよみがえったというような新聞記事を覚えている(もちろん偉大な物理学者であることなどは知らなかった).
高校の修学旅行で九州の汽車の中でランダウの死亡記事を読んだことも覚えている.
中学生のときに読んだ「相対性理論入門」はすばらしい啓蒙書で,物理が好きになるきっかけのひとつであった.
出席者37名(素粒子宇宙7名,物質理学28名,他学部2名).不思議なことに出席者が増え続けている.
次々回(5/17)から場所を理学館大講義室(地下1階のプロジェクト室と呼ばれていたところ)に変更します.
2005年4月19日
第2回.Isingモデルの統計力学,Isingモデルの平均場理論,平均場理論での臨界指数.
出席者35名(素粒子宇宙8名,物質理学22名,他学部2名).講義室を変え小さくなったのでやりやすい.
受講者には座席がいっぱいで少しきついかもしれないが講義するほうにとっては大教室がガラガラなのよりずっと落ちついてよい.
Isingの写真を見つけた.
今日の夜,世界物理年の企画として「光と闇のウェイブ」プロジェクトが行われる.
この地域(場所;愛知県、郵便番号[上3桁]=464)では4月19日(火) 20:28 からです.
部屋の明かりなどを2分間消灯してください.
2005年4月12日
第1回.講義の進め方の説明.
相転移の次数,相図とClausius-Clapeyronの関係式,水,ヘリウム3,4の相図.
事務室前の掲示に合わせて講義室を理学館506に変更した.
この部屋は前の席の両端から見にくいのとOHPが設置されていないのが欠点だがB5より落ち着く.
出席者31名(素粒子宇宙5名,物質理学25名,その他1名).昨年に比べ素粒子宇宙からの受講者が減っている.
内容に問題があったかな?
講義で使った図:
4He相図,
3Heの相図
,
水の相図,
水高圧相図
.