(最終更新 2015/09/14)

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目次  読んで面白かった本などアルバム (album)

読んで面白かった本など

古地図に憑かれた男 -史上最大の古地図盗難事件の真実- (2015.08)
マイケル・ブランディング, 森夏樹(訳),青土社
 ただの地図泥棒の話だが,地図愛好家にとっては古地図の魅惑的な世界が広がる.

銃・病原菌・鉄―1万3000年にわたる人類史の謎 (2015.07)
ジャレド ダイアモンド(著), 倉骨彰(訳),草思社
 何年も前から読みたいと思っていて,やっと読むことができた. 大集団であれば自然的環境がその集団の人々全体の人生を決定してしまうということか. 歴史は細部も興味深く語りうるが,全体の流れはさらに面白い.

ノイマン・ゲーデル・チューリング (2015.05)
高橋 昌一郎, (筑摩選書)
 数学基礎論にかからるつながりのある3人の天才だが,その性格や行動は対照的だ. 量子力学,経済学から政府の要職まで務めたノイマン,きわめて社会性の欠けたゲーデル,エンジニア的なチューリング,当人たちの重要な論文と解説のほか,えっと驚く話がいっぱい.

迷走する物理学 (2014.11)
リー スモーリン, 松浦俊輔(訳) ,武田ランダムハウスジャパン
 超弦理論を中心とする最近の「物理学」の批判的解説. 確かに実験で検証できる予想を持たないない理論の意義は何だろう? 最後のほうの社会学的分析もかなりキツイ.

量子力学は世界を記述できるか (2014.05)
佐藤文隆,青土社
 量子力学の最近の発展が科学にとってどのような意味をもつかの考察. 論証型の記述ではないので共感するところは軽快に読める. そうでないところは.... いずれにしろ量子力学の意味するところを考えずにはいられない.

遠野物語 (2014.03)
柳田國男,青空文庫
 20世紀に出版されたこの本の中の伝承の世界は,本当におとぎ話だ. 百数十年前の岩手県はこんな恐ろしい世界だったのか?

主役はダーク 宇宙の究極の謎に迫る (2013.11)
須藤靖,毎日新聞社
 須藤さんの本はいつも面白すぎて(専門書はどうか知らない)こういうところに書くのははばかられる気がしていた. この本は教育的でもあり,共感するところがあまりに多いので載せておくことにしよう.

学者と名誉 (2013.09)
夏目漱石
夏目漱石先生の追憶 (2013.09)
寺田寅彦
寺田先生の追憶--大学卒業前後の思い出-- (2013.10)
中谷宇吉郎
 最近,地下鉄での青空文庫の読書で読んだ師弟3代のものから. こういう「本」がすぐ手に入るのは大変ありがたい.

戦後政治史 第三版 (2013.04)
石川真澄, 山口二郎, 岩波新書
 戦後の政治的事件を淡々と綴っただけの本だが,自分の記憶と重ねてみると感慨があり,自分の知らない「戦後」の割合がどんどん減っていくのに驚く.

なぜビッグバンは起こったのか―インフレーション理論が解明した宇宙の起源 (2013.03)
アラン・H.グース, はやしはじめ, はやしまさる(訳) 早川書房
多世界宇宙の探検 ほかの宇宙を探し求めて
アレックス・ビレンケン, 林田 陽子(訳) 日経BP社
ブラックホール戦争 スティーヴン・ホーキングとの20年越しの闘い
レオナルド・サスキンド, 林田陽子(訳) 日経BP社
隠れていた宇宙
ブライアン・グリーン, 大田直子(訳) 早川書房
宇宙に外側はあるか
松原隆彦, 光文社新書
 最近この系統の本を,ここに書いてないものも含めて結構楽しく読んだ. どこまでがサイエンスでどこからがフィクションかわからない.
外国の本は,だらだら書かれていて厚すぎ,やや疲れる感がある. 同僚の松原さんの本はわかりやすい.「新書」は適当なフォーマットだ.

インカ皇統記〈1-4〉 (2012.09)
インカ・ガルシラーソ・デ・ラ ベーガ, 牛島信明(訳), 岩波文庫
 関係者の語る歴史は客観性には乏しいが不思議な魅力がある. 王家の血をひく著者の微妙な感情の表出が興味深い.

ルアーブルの靴磨き(2012.04)
監督:アキ・カウリスマキ 
アーティスト(2012.04)
監督:ミシェル・アザナヴィシウス 
 これはという本に合わないので,代わりにおもしろかった映画を二本.

神々の黄昏(2012.03)
指揮:ファビオ・ルイージ 演出:ロベール・ルパージュ
 シリーズ最後,6時間近くスクリーンを眺める. あらすじを読むと脈絡もなく荒唐無稽に思われるが,見ていれば説得力のある不思議な世界. 「ラインの黄金」を見損なったのが残念.

シルクロード〈上,下〉 (2012.01)
S. ヘディン, 福田宏年(翻訳), 岩波文庫
 第2次大戦の直前,閉ざされた戦乱の新疆への自動車での探検の記録. ここに現れる小さな集落はGoogle Earthで見ると中都市となり,バラックの街ウルムチには高層ビルが林立する.

究極理論への夢―自然界の最終法則を求めて (2012.01)
スティーヴン ワインバーグ(著),小尾信弥,加藤正昭(訳), ダイヤモンド社
 ワインバーグは"More is different"を理解しない人のように言われることがあるが,読んでみるとまっとうな主張しかしていないし,一途な姿勢は共感できる. (少し前の)最近の進歩についての解説は簡潔で分かりやすい.

グレン・グールド 天才ピアニストの愛と孤独(2011.10) 監督:ミシェル・オゼ , ピーター・レイモント
アンナ・マグダレーナ・バッハの日記 (2011.10) 監督: ダニエル・ユイレ , ジャン=マリー・ストローブ,出演:グスタフ・レオンハルト
 マイナーな映画館でマイナーな映画を2週続けて観賞. ともにバッハと関係が深い. レオンハルトとグールドの演奏は対照的だ.

ワルキューレ(2011.06)
指揮:ジェイムズ・レヴァイン 演出:ロベール・ルパージュ  テレビはとても付き合えない5時間の大作(メトに行く金も暇もない). とにかくワーグナーはすごい.

原発安全革命 (2011.06)
古川和男, 文春新書
 トリウム溶融塩炉を提唱する書. 軽水炉など既存の原子炉の安全性問題での破たんがやっとみんなの共通認識になった. リスクのない技術はないが,可能な最大事故を社会が容認できるかどうかが実用に供すべきか否かの判定基準だと思う. トリウムはどうか?

歴史とは何か (2011.03)
E.H. カー(著), 清水幾太郎(翻訳),岩波新書
 若いころ読みそこなった本だ. この間に,社会科学のものの見方が(著者が主張する方向に)ずいぶん変わったことを感じる.

The Grand Design (2011.03)
Stephen Hawking(著), Leonard Mlodinow(著),Bantam Books
 久々に英語の本を読んだ気がする. 著者の世界観を受け入れるかどうかは別として,本質をついてわかりやすく刺激的な解説書だ.

素数に憑かれた人たち ~リーマン予想への挑戦~ (2010.12)
ジョン・ダービーシャー(著), 松浦俊輔(訳),日経BP社
 数学的な部分の解説が比喩とグラフを多用しておもしろく書かれている.

古書の来歴 (2010.09)
ジェラルディン ブルックス(著), 森嶋マリ(訳),武田ランダムハウスジャパン
 古本マニアの奇行を扱った本かと思ったが,歴史ドラマ+ミステリーで舞台の変転に度肝を抜かれ引き込まれた. ここで起こる様々な事件は,数か月前に読んでこの欄に書き忘れた下の本を思い起こさせる.

神は妄想である―宗教との決別 (2010.??)
リチャード・ドーキンス(著), 垂水雄二(訳),
 印象に残るメッセージは,広い意味の宗教(あるいは理想主義,民族主義を含む)は最悪の戦争の原因になりうるということ. 経済的なものと違って妥協できないのが泥沼化する理由だ.

ロシア革命―レーニンからスターリンへ、1917‐1929年 (2010.08)
E.H. カー(著), 塩川 伸明(訳),岩波現代文庫
 20世紀を特徴づけることになった最大の事件の意味を膨大な研究の上に立って,見通し良く紹介してくれる. ロシアには行ったことがないが,中国へ行ってみてロシア革命の意味を改めて考える.

認知症―専門医が語る診断・治療・ケア (2010.07)
池田学,中公新書
 認知症の病理から地域治療体制のまで問題点を要領よく解説した,専門医による好著. 今は介護する立場だが,いずれ患者になるかもしれないし,知っておくべきこと考えるべきことは多い.

のだめカンタービレ 最終楽章 後編(2010.05)
 期待通りの楽しい映画でした.

量子のからみあう宇宙(2010.4)
アミール D. アグゼル(著), 水谷淳(訳),早川書房,
 基礎セミナーの参考にと思って読んだが,よく調べて書いてある. 良書だと思う.

驚異の大地アフリカ 空から眺めた地球の素顔(2010.4)
ロバート B. ハース,日経ナショナルジオグラフィック社,
 圧倒的な迫力. いい写真集は絶版になると古書でも値が下がらない.

科学史から消された女性たち(2010.1)
大江秀房, 講談社,ブルーバックス
 ここに書こうと思って調べたら,出版社のwebに「二〇〇六年三月八日付で回収・絶版の措置をとった」, 「調査の結果、最終的に内外の著作物に対する著作権上の問題を確認いたしました」とあった.(経過) 残念なことである.

グレン・グールド伝―天才の悲劇とエクスタシー (2009.12)
ピーター・オストウォルド(著), 宮澤 淳一(訳),筑摩書房
 グールドと親しかった精神医学者で,ヴァイオリニストでもある著者の分析が興味深い.

老いて賢くなる脳(2009.12)
エルコノン・ゴールドバーグ(著), 藤井留美(訳),日本放送出版協会
 いろいろ老化が心配になる年になり,標題にひかれて手に取った.著者の前著よりも面白い. ヒトラー,スターリン,毛沢東,レーガン,ブレジネフなどが在任時から認知症を発症していたという記述は,「やっぱり」と思うが,それでも老人の知恵があればリーダーは務まるのか?

アイーダ(2009.11)
指揮:ダニエレ・ガッティ 演出:ソニヤ・フリゼル
 メトのオペラなど,とても見る余裕はない. 多少高い(いつもの3.5倍払った)が映画では特等席で堪能できる.

大学の誕生〈上〉帝国大学の時代,〈下〉大学への挑戦(2009.11)
天野郁夫,中公新書
 大学誕生の歴史を詳述する力作.名門私立大学の歴史などはじめて知ることも多く多くのドラマがあったことが分かる. 大学は英語の講義から脱却するのに多大な努力を費やした. そして今,多大な努力を費やして英語の講義を復活しようとしている.

万物の尺度を求めて―メートル法を定めた子午線大計測(2009.10)
ケン オールダー, 吉田 三知世(訳),早川書房
 小学校の時,模擬テストの裏に書いてあった,メートル法はフランス革命のとき地球の大きさを基準に決められたという話はとても印象的だった. この本はその時のドラマを生き生きと描き出している. 国王のプロジェクトであったこと,戦乱の中の測量,封印されたデータの秘密等々,厚い本だが読みだしたら止まらない.

バカ丁寧化する日本語 (2009.09)
野口恵子,光文社新書
 いつの間にか「...させていただく」ことを望む人たちの慇懃無礼な日本語が蔓延して,鳥肌の立つ思いをしている. バカ丁寧化した日本語は,使う人の思考放棄の表明でしかない. これを批判する著者の立場には共感するが,かといって,この本で説明される複雑な謙譲表現を使いこなすのも柄でないし困難だ. 簡潔な丁寧語を使いたい.

日本<汽水>紀行―「森は海の恋人」の世界を尋ねて (2009.07)
畠山重篤,文藝春秋
 読書家のKさんが激賞したので読んでみた. 海で魚が取れるためには,山に森がなくてはいけない. うまい魚を食べるために漁民が植林運動をするという,環境問題の総合性を教えてくれる.

レオンハルト チェンバロリサイタル(2009.05)
しらかわホール
 25年ぶりくらいに見るチェンバロの巨匠はThe Lord of the Ringsのサルマンの風貌. 演奏は絶品,昔と違いアンコールまであった.そのあとで通販で買ったCDセットを少しずつ聞いている. バッハ以前の音楽もいい.

凍った地球―スノーボールアースと生命進化の物語 (2009.05)
田近 英一,新潮選書
 NHKのヴィデオで見て興味を持ち読んだ解説書. 同位元素測定の精度の向上から得られる知見は驚くべきものがある. 太古の昔を再現して見せる想像力にも感心する.

強欲資本主義 ウォール街の自爆 (2009.04)
神谷秀樹,文春新書
 ある意味で堤氏の本と対をなす上から見たシステム崩壊の現状報告. こんなに腐ったシステムで世界が動いている恐怖.

片岡球子展(2009.04)
松坂屋美術館
 迫力に圧倒される.老いて枯れるのも味があるが,枯れない人もいるのだ.

生命世界の非対称性 (2009.04)
黒田玲子,中公新書
 幅広い内容がコンパクトにわかりやすくまとめられている. 外国の科学解説の本はダラダラ長いことが多いが,日本の新書版は適切な長さで切ってあるので無駄がない. 良い伝統だ.

皇帝の新しい心―コンピュータ・心・物理法則 (2009.03)
ロジャー ペンローズ(著), 林 一 (訳),みすず書房
 著者の新理論はあまりにも漠然としていて何とも言うところがないが,チューリングマシン,ゲーデルの定理,相対性理論,量子論,脳などの解説は要領を得ていて学ぶところが多い.

ルポ 貧困大国アメリカ (2009.03)
堤未果, 岩波新書
報道が教えてくれないアメリカ弱者革命―なぜあの国にまだ希望があるのか (2009.01)
堤未果, 海鳴社
 息子が虫垂炎で数日入院したとき10万円程度の出費があり,半分保険で返ってきた. ニューヨークでは平均1日入院でなんと240万円の費用がかかるという. そしてアメリカには健康保険に入れない人が5000万人いる.
 北朝鮮や中国に負けないくらいの「民主主義」国家の裏側を迫力をもって伝える. この希望がオバマ大統領を生み出したのだろう.

古代への情熱―シュリーマン自伝 (2009.01)
ハインリヒ シュリーマン(著), 村田数之亮(訳),岩波文庫
 この本を「自伝」とするのはどうかと思うが,わずかな自伝の部分の中身はすごい. まさに「情熱」.

自然界における左と右(新版) (2009.01)
マーティン ガードナー(著), 坪井忠二,小島弘, 藤井昭(訳),紀伊国屋書店
 このテーマの古典的な名著.特に前半は興味深い.

一粒の柿の種―サイエンスコミュニケーションの広がり (2008.12)
渡辺政隆,岩波書店
 先端的な科学があると同時に,あるいはそれ以上に文化としての科学が定着することは大切だ. 昔,米国に渡ったとき,Dysonの「Disturbing the Universe」やHofstadterの「Goedel, Escher, Bach」がベストセラーになっているのを知って驚嘆した. アメリカは格差社会だからああいう本がファッションになる人も多いのかもしれない. 日本に,そういう文化も欲しい.

Shine A Light (2008.12)
監督・脚本:ダニエル・ゲラー/デイナ・ゴールドファイン
 何といっても,60代半ばでのあのエネルギーの爆発はすごい. Rolling Stonesなんて昔は全く関心もなかったし,幕間にはさまれる昔のフィルムに写るのはやはりだだのチンピラにしか見えないのだが,年を経るにしたがって出てくる風格とは不思議なものだ.少し見習わねば...

生物と無生物のあいだ (2008.11)
(講談社現代新書) 福岡 伸一
 前から読みたいと思っていたが,飛行機の中で読む本がなかったのでついに買って読んだ, 生物学の基本的な発見を著者の体験を重ねてドラマティックに描いていおり,どんどん引き込まれる.

iPS細胞 世紀の発見が医療を変える (2008.11)
(平凡社新書) 八代嘉美
 明快な解説.

脳は奇跡を起こす (2008.08)
ノーマン・ドイジ, 竹迫仁子(翻訳), 講談社インターナショナル
 脳の可塑性に関する研究,そしてその応用の進展は目覚ましいものがある. 補聴器と人工内耳の差はあまりに大きい.

量子力学のイデオロギー (2008.08)
佐藤文隆,青土社
ワープする宇宙―5次元時空の謎を解く (2008.08)
リサ・ランドール, 塩原通緒(翻訳), 日本放送出版協会
 最近,超弦理論とその周辺の解説をよく見るが,視野の狭さが気になるものもある(上の後者にその傾向あり). しかし,仕方ないことかもしれないが,こういう物理は「理科」という感覚が薄くなる.

さまよえる湖〈上,下〉 (2008.07)
S. ヘディン, 福田宏年(翻訳), 岩波文庫
 まだ地上の未知の地域の探検のあった時代. しかし大航海時代と比べると,まったくの未知ではなく,空白を埋めている感がある.

背信の科学者たち (2008.07)
W.ブロード, N.ウェイド, 牧野賢治訳, 講談社,ブルーバックス
 研究成果を宣伝し,研究費を稼ぐことがますます要求されるような時代になり,捏造,改竄,剽窃などが増えている. 最初の出版はずいぶん前だが,全面的に分析してある研究者必読の書. プトレマイオス,ニュートン以来の普遍的な問題だという認識が不可欠だというのが著者の主張である.

高学歴ワーキングプア 「フリーター生産工場」としての大学院 (2008.06)
水月 昭道,光文社新書
 分野による差異が分析されていないなどの不満があるが問題の重要さを指摘した意義のある本. (正確でない部分もあるが)本書に書かれたような不幸な事情と,売り手市場の就職戦線の結果,進学者が減っている. しかし,本当に研究がしたい人にはこれからがチャンスではないか.

脳を支配する前頭葉―人間らしさをもたらす脳の中枢 (2008.05)
エルコノン・ゴールドバーグ,沼尻 由起子訳,ブルーバックス
 脳のことを学んでよい点は,人間の行動が少し落ち着いて眺められる点だろう. 人の(そして自分の)腹の立つような行動も,前頭葉の障害と思えば許せるかもしれない.

暗号解読―ロゼッタストーンから量子暗号まで (2008.05)
サイモン シン,青木薫訳,新潮社
 最初のプログラム可能な計算機が有名なENIACでなくコロッサルというものだことを知る. 重要な発明発見がみんな秘密研究の再発見でしかない,というのが暗号研究の宿命らしい. 今更ながら科学の成果は無条件で公開されるべきだと思う. 学術雑誌もオープンアクセスに進むとしたらIPAPやElsevierはどうなるのだろう?

二重らせん (2008.04)
(講談社文庫) ジェームス・D・ワトソン、中村桂子,江上不二夫訳
 30年ぶりの再読. 訳者(江上)のあとがきの感想が科学研究のスタイルの変化を感じさせる.

新しい自然学―非線形科学の可能性 (2008.04)
蔵本由紀,岩波書店,双書・科学・技術のゆくえ
 著者の非線形科学に対する熱い思いが伝わってくる名著. 第3章のはじめを読んで,危ない言説があるかとの期待と不安を持ったが杞憂であった.

善き人のためのソナタ (2008.03)
監督・脚本:フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク
 東ドイツの諜報活動の物語.淡々と進んでいくストーリーの展開との主人公の演技が光る. ラストのセリフも印象的.

バレエ・リュス (2008.02)
監督・脚本:ダニエル・ゲラー/デイナ・ゴールドファイン
 ディアギレフ亡きあとのロシア・バレエ団の再興から消滅までのドキュメンタリー映画. 何事も生成,発展,衰退,消滅がある. アメリカ大陸をどさ回りしていた時期の若者の情熱に驚く.

四色問題 (2008.02)
ロビン・ウィルソン, 茂木健一郎訳,新潮社
フェルマーの最終定理―ピュタゴラスに始まり、ワイルズが証明するまで (2008.02)
サイモン シン, 青木薫(訳),新潮社
 多分中学生の頃,数学の啓蒙書に4色問題とフェルマーの定理が書かれていたのを覚えている(ポアンカレ予想は記憶にない.難しすぎる.). 両方とも解かれてしまった. その証明方法が,計算機の活用と異分野の統合と,両極をなしているのが面白い. それにしても天才が次々と大きな分野を創造した時代と,何年もかけあらゆる技術を使って一つの問題を解く時代との違いを考えさせられる.
 どの固体物理の本も自明としているケプラーの予想は未解決らしい.

量子のミステリー (2008.01)
D. マーミン,町田茂訳,丸善
 世界は、人々が(アインシュタインに限らず)決して(少なくとも自然には)受け入れることのできないようにできていることを示す実験の解説. 「アインシュタインと21世紀の物理学」の清水明さんの解説と並んで,問題の核心を教えてくれる. 世界がこうなっていることは本当に不思議だ.

もう牛を食べても安心か (2007.12)
福岡伸一、文春新書
 「プリオン説はほんとうか?―タンパク質病原体説をめぐるミステリー」がおもしろかったので、これも読んでみた.最大の収穫はシェーンハイマーについて詳しく知ったこと. 生物の物質代謝について革命的な事実の発見者が正当に評価されていないことは全く意外だった. 生命とはモノ自体ではなくシステムなのだ.

ALWAYS 続・三丁目の夕日 (2007.11)
山崎貴監督
 続編は駄作も多いがこれは相変わらず泣かせる佳作. 私は一平と同世代なので,画面の隅々に映る細部がとりわけ興味深い. 羽田空港は小学校の遠足の記憶そのままであった.

アインシュタインレクチャーズ@駒場 (2007.11)
太田浩一,松井哲男,米谷民明編集,東京大学出版会
 これだけの講義がそろえられるのだから駒場は全くうらやましい.

ボルツマンの原子―理論物理学の夜明け (2007.10)
デヴィッド リンドリー, 松浦俊輔訳,青土社
 ブローダの「ボルツマン」は面白いが今は手に入らない. これは物理学者としての考え,行動を詳しく書いてあり,お勧め. どうでもよいようなことだが,大学を移るにあたっての動揺が興味深い.

非対称の起源--偶然か,必然か (2007.09)
クリス・マクナス,大貫昌子訳,ブルーバックス
 原題は「Right Hand, Left Hand」. パリティ非保存から,各国の風俗習慣,言語にいたるまでの雑学. 最新の科学的成果がいろいろ紹介してあり,内容も信頼性がありそうなので有用.

騎馬民族国家--日本古代史へのアプローチ (2007.07)
江上波夫,中公新書
 20年ぶりの再読である. 大陸を疾走する騎馬民族が朝鮮半島を経て日本に渡り大和朝廷となった,と言う話はロマンがあり実に面白い. 現在この学説がどの程度受け入れられているのか(いないのか)は知らないが,議論には説得力がある.

脳はなぜ「心」を作ったのか―「私」の謎を解く受動意識仮説 (2007.06)
前野隆司,筑摩書房
 漠然と思っていたことを単純明快に言ってくれたのでうれしい. あまり単純なので,これで解決と言われても,はいそうですかとは言えないが,ポイントは捉えていると思う. ただ科学はここから先が問題だ.

脳と仮想 (2007.05)
茂木健一郎,新潮社
 以前この著者の脳についての解説書を読んだら,こけおどしがあまりに多くいやになったのだが,エッセイは鋭い指摘があり面白い. 大事なことははっきり言わないほうがよいのだろう.

XXXXXXXXXXXXXX (2007.05)
XXXX,XXXX
 ある本をここに書こうと思ったらすでに書いてあることに気づいた. 老人力がついてきたようだ. 同じものを何度も楽しめる.

異色と意外の科学者列伝 (2007.05)
佐藤文隆,岩波書店
人物で語る物理学入門(上)(下) (2007.04)
米沢富美子,岩波新書
 ともに物理学者の簡単な伝記. 後者は人選がバランスが取れていてよい. 前者は,ドイツやイギリスで物理学が制度として確立していく過程の説明が有益だった.

三国志 (1)-(10) (2007.04)
羅貫中,小川環樹,金田純一郎訳,岩波文庫
 通勤読書でやっと読了.娯楽小説だからおとぎ話も多いが,昔の人の(といっても舞台となった3世紀かどうかは分からないが),「忠」「孝」の意識の強烈なのに驚く. 歴史の駆動力という点で,以前読んだ「ガリア戦記」や「政略論」などの洋風と共通するのは,名誉の意識である. 今の日本の若者にはこの種の意識が世界的にも低い方になったとの新聞記事があった.

科学と社会 (2006.11)
都留重人,岩波ブックレット
 久しぶりにこのジャンルの本を読む. さすが,鋭い問題提起が随所にある. 記述が系統的でないのは不満だが,「ブックレット」だからしょうがない. 大著になってしまったら読めないでしょうね.

論文捏造 (2006.11)
村松 秀,中央公論社
 最近は論文捏造事件が頻繁に起こる. NHKの特集番組のディレクターの書いた本で,貴重なケーススタディである. 社会的な背景の分析は,もっと深める必要があると思うが,一人の研究者として考えさせられる問題は多い. 共著者の責任,出版者の責任,学界の責任....
 先日の研究会で某研究所の方から,インパクトファクターを使って業績評価をやりその点数を給料に反映させているということを聞いた. 若い人が萎縮しているとのことだ. 大学でも来年度から職階制の変更があるそうだが,これと対になって現れる個人評価は,やりようによっては大学全体を破滅させかねない. 教育基本法と大学の進み方によっては日本も先がないな.

特別展「脳!内なる不思議の世界へ」(2006.10)
名古屋市科学館
 いやー,下等な生物からヒトまで脳標本は迫力があった. 指先ほどの脳を見て,我が家のウサギたちの行動も納得.

オール1の落ちこぼれ、教師になる (2006.9)
宮本延春,角川書店
 著者が,名大物理の卒業生ということを知って読んだが,タイトルから想像されるように涙の出る本である. 反省したことがあった. 「アインシュタイン・ロマン」はフランス語講座のアシスタント,J.D.嬢が出演していたので一度だけ見たが,CG乱用の駄作だと思った. つまり作品の価値を自分の基準だけで判断してはいけないということ. また推薦入試にも意味があるということを知った.

脳を究める--脳研究の最前線 (2006.8)
立花隆,朝日新聞社
神経内科―頭痛からパーキンソン病まで (2006.8)
小長谷正明,岩波新書
どくとるマンボウ医局記 (2006.7)
北杜夫,中央公論社
私の脳科学講義 (2005)
利根川進,岩波新書
進化しすぎた脳 (2005)
池谷裕二,朝日出版社
 「脳のなかの幽霊」が面白かったのでその続編を含め,最近脳や神経に関する本を何冊か読んだ. 自らの意識の問題を考えさせられ興味は尽きない. ある程度専門的な内容を書いた本が有益だが(ベストセラーをたくさん出しているM氏のものは裏づけのないレトリックが多く,がっかり),研究者当事者よりもサイエンスライターの書いたものが一般に分かりやすい. 以前,蔵本さんが,日本のサイエンスライターはレベルが低い(きちんと裏をとらないということ)とおっしゃっていたが,科学の発展のためには流行の先端以外のことも書ける優れたサイエンスライターを育てることが重要だと思う.

脳のなかの幽霊 (2006.6)
ラマチアンドラン,角川書店
 脳についての本としては「脳と心の地形図―思考・感情・意識の深淵に向かって」(1999年)がジャーナリストがまとめた本で,なかなか分かりやすくてよかった. この本は第一線の研究者によるエクサイテイングな解説で(1999年日本語版発行なので新しくはない),具体的な研究の過程が分かりやすく書かれ,そこから普遍的な問題について問いかけてくれるのがよい. 脳の障害から思いもよらない脳の働きが見えてくる.最近の脳科学の進歩は面白いが,物理的測定(観測)手段の進歩がその背景にある.

Richter: The Enigma (2006.5)
Director: Bruno Monsaingeon
 Svyatoslav Richterのインタヴューを中心に綴ったドキュメンタリーヴィデオ. 歴史的な名演のフィルムも貴重だが,スターリンの葬式での演奏など,歴史の荒波の中をほとんどそれと無関係なように(とはいえ父親は銃殺されている)生きてきたように見えるところが面白い. モンセニョンのGlenn Gouldのフィルムも興味深いものだが,こちらのほうがはるかにおもしろい. 諦念に満ちたリヒテルの語り口と衒学的なグールド,二人の生きた環境の差も大きい.

現代科学論の名著 (2006.4)
村上陽一郎編集,中公新書
 拾い物の本だが,普段名前だけ聞いて読めない本の紹介があるので便利. ただもとの本を是非読まねばと思ったものはそう多くない.

雪 (2006.2)
中谷宇吉郎,岩波文庫
 素朴な興味と手作り装置から科学が始まる本来の科学の姿が伝わる好著. ただ雪の落下速度の解析には疑問あり.

孤独になったアインシュタイン (2006.2)
佐藤文隆,岩波書店
 かなり雑多な文献案内だが物理をやるものにとっては面白い話がいろいろ聞ける. しかし縦書きの本を書く物理屋が縦書きの本を書かない先生のもとに続いて育ったのは何故かな?

坂の上の雲(2006.1)
司馬遼太郎,文藝春秋
こころ(2006.1),吾輩は猫である(2006.2)
夏目漱石
 「雲」を読むと愚劣な指揮官がどれだけの害毒を流すかがわかる. 昔勤務した研究所の前には乃木希助遺愛の松というのがあって,名将なのかと誤解していたが正反対であることを知り驚いた. 本人に悪気はない. そういうシステムになっているのが悪いのである.
 あとの本との共通点は「明治」. 日本の社会と日本人の意識が急速に「近代化」していく過程とその矛盾がよく見える.

博士の愛した数式 (2005.12)
小川 洋子, 新潮文庫
 前から読みたいと思って,図書館で待っていたのだが待ちきれずに買ってしまったが,充分にその価値はあった. 数学者が主人公となる小説は珍しいが,物理学者が登場する文学作品も少ない. ブレヒトの「ガリレイの生涯」のような伝記的なものしかないようにおもえる.

福翁自伝 (2005.11)
福沢諭吉,岩波文庫
 最近,「学問のすすめ」を読んで,その独立精神に共感し,自伝も読んだ. これは破天荒な天才である.痛快この上ない. また生き生きと語られている「書生」の生活がすごい.

ヴェニスの商人(2005.11)
シェイクスピア(訳:小田島雄志),白水社
ベニスの商人 (2005.11)
監督:マイケル・ラドフォード
 アル・パチーノのシャイロックがよい. 原作を読んでいなかったので現代風にアレンジしたのかと思って読んでみると,せりふもほとんど原作どおり(どおりで英語がちんぷんかんぷん). いまさらながらシェイクスピアの時代を超えた普遍性に感服.

飄々楽学―新しい学問はこうして生まれつづける (2005.10)
大沢文夫,白日社
一物理学者の想い―学問・詩・批評 (2000.11)
高林武彦,日本評論社
 この2冊の本,ともに物理教室の先輩の先生方の自伝的な本である. スタイルも全く違うが昔の人は偉い!と叫びたくなる. 前者はその発想の柔軟さに,後者は真摯さに心を動かされる. しかし大沢先生によると高林先生は電磁気学の講義を1回しかやらなかったとのことである. 名大のホームカミングデイのときに当時の方から話を聞いたが,卒業できない学生の割合は,どんなに丁寧な教育をしても,あまり変わっていないようだ.

ガリア戦記 (2005.09)
カエサル,岩波文庫
 2000年前の文章がそのまま(もちろん翻訳で)読めて,当時のフランス,ドイツなどの姿が目に浮かぶことにまず感動. 印象に残るのはローマの力の源泉が名誉意識にあったこと. 軍隊だからとくにそうなのだろうが,現代人を動かしている名誉意識とは異質なものを感じる.

流れる星は生きている (2005.08)
藤原てい,偕成社
 ノンフィクションの迫力. 今の日本の生活からは考えられないような時代をわれわれの上の世代は生きてきた. 今も世界の各地でこれと同じことがおこっている.

東大生はバカになったか―知的亡国論+現代教養論 (2005.05)
立花隆,文芸春秋
 東大の草創期のいろいろな逸話が面白い. また現代教養論は拝聴に値する. 学生も無教養かもしれないけれど,昔の先生に比べて今の先生はかなり無教養ではないかとわが身を省る.

科学哲学の冒険―サイエンスの目的と方法をさぐる (2005.05)
戸田山和久,NHKブックス
 この手の本は大抵途中でバカバカしくなるのだが,掛け合い漫才的な面白さとバランスのよさで最後まで読める. 著者の立場も非常に好感が持てる. ただアホな相手と勝ち負けを争うよりもう少し別な方向でのテーマはないのでしょうか?

知的生産の技術 (2005.04)
梅棹忠夫,岩波新書
 この本が出版されてから36年.今読んでみると著者の考え方がずいぶん受け入れられていることは当然だが,具体的な「技術」の中身が全く変わってしまったことに驚く.

「数」の日本史―われわれは数とどう付き合ってきたか (2005.02)
伊達 宗行,日本経済新聞社
 著者は高名な実験物理学者だが,このような研究もされているとは知らなかった. 名前から想像される由緒ある家系の方であることも確認した. 興味深い数学史の本である.

物理学者ランダウ―スターリン体制への叛逆 (2004.12)
佐々木力, 山本義隆, 桑野隆編集,
 ランダウの名前を偶然知ったのは小学生のとき! 交通事故に遭い4回ほとんど死んだが世界の協力で助かった科学者という新聞記事を見た記憶がある. 中学生のときに「相対性理論入門」という啓蒙書を読んで,透徹した論理に感動した. (この本にあるランダウの表現に従うと数百円で相対性理論が分かるとまんまとだまされた.) 高校の修学旅行の列車の中でランダウの死を報じた新聞を読んだこともよく覚えている. ランダウがスターリンに監獄にぶち込まれたことは知っていたが,銃殺されなかったことがむしろ奇跡であったことは本書によってはじめて理解した. 物理学の「バイブル」の著者を知るための必読書.

波のむこうのかくれ島 (2004.11)
椎名誠
 本でもテレビでも紀行は未知の世界に運んでくれるので好きだ. 離島の生活は都市の対極にある. 学生時代に旅した沖縄の竹富島を思い出す. あそこはすでに観光地だったが本当の「忘れられた島」も多いのだろう.

アメリカ伊能大図里帰りフロア展inナゴヤドーム (2004.10)
伊能大図「フロア展」中部地方実行委員会
 野球見物以外でドームに来るのは初めて,並んで会場を待つ. 江戸城大広間にも並ばなかった伊能大図が一望,地図ファンにはたまらない. 徳川園に展示されたオリジナルも美しい.

華氏911 (FAHRENHEIT911)(2004.9)
マイケル・ムーア
 話題の映画である. 期待以上ではなかったが,充分に満足. とくに印象的だったのが,アメリカ兵を供給している,不況で荒廃した地域の様子.

「超」文章法(2004.5)
野口悠紀雄,中央公論新社(中公新書)
 年度末になると私はたいてい国語や英語の先生に変身する. 何故,国語と英語が苦手だった私がこんなことをするのか(してよいのか)と悩むことになる. 学生諸君には論文を書く前に是非読んで欲しい本である. (この本と木下是雄「理科系の作文技術」を.戸田山和久「論文の教室」もおもしろい.) ふだん漠然と考えていたことがみんな書いてある(「超」整理法もそうだった). とくに「メッセージが8割」がいちばん大事なメッセージ.

ケストナー―ナチスに抵抗し続けた作家 (2004.5)
クラウス コルドン, (那須田 淳,木本 栄) 偕成社
 ケストナーといえば子供のころに読んだ「エミールと探偵たち」が忘れられないが,その作者が国外に亡命することなく命がけでナチスに抵抗し続けた作家であったとは知らなかった. 一人の作家の人生を追うことでドイツの歴史を学ぶことができる.

ららら科學の子 (2004.1)
矢作俊彦, 文藝春秋
 日本の現在に対する辛辣な見方と同世代の郷愁で面白く読んだ. 「あ・じゃ・ぱん」のドタバタがないのが良いところ(?). 40年前の著者の顔が浮かぶが主人公とは少し違う.

FBI心理分析官, (2003.11)
ロバート・K. レスラー, 早川書房
 心の闇は深い.米国でこういう犯罪が多いのは何故だろう?

発掘捏造 (2003.11)
毎日新聞旧石器遺跡取材班,毎日新聞社
 旧石器捏造事件の取材記録.世紀の大スクープの興奮が伝わる.

ケータイを持ったサル―「人間らしさ」の崩壊 (2003.11)
正高 信男,中央公論社
 著者は電車の中で私と(そしてかなりの数の中年男性と)同じ考えを持った. そしてサルや人間の行動のプロとして,興味深い実験観察データをもとにその意見を展開している(牽強付会も無しとはしないが). ケータイを使えぬ者のただのひがみではないのだ.

南仏プロヴァンスの昼下り (2003.10)
ピーター・メイル,河出書房新社
 このシリーズの3冊目. プロヴァンスの農村風景とフランス人の行動パターンを思い出させてくれて楽しい. やはり食べ物の話が多く,昨年マルセイユでケチって安いレストランに入ったためにおいしいブイヤベースを食べ損なったことを思い出してしまった(ワインは安くてもおいしかったのだが...).

国王陛下の船エンデヴァ号における特記すべき事件 (太平洋探検〈上〉) (2003.6)
国王陛下の帆船レゾルーション号の航海誌 (太平洋探検〈下〉) (2003.9)
クック,岩波書店
 図書館の書棚で見かけたときに小学校時代の読書の記憶がよみがえり早速借りてきて読んだ. 原著(といっても省略があるが)を読んでの新発見は,探検の犠牲者がほとんどジャカルタに寄港したときの赤痢によるものであることだ.日清戦争犠牲者の大多数が森鴎外が麦飯を拒否したことによると知ったときの驚きと同じ. また,秘密の指令書にかかれた探検の目的が,タヒチ島で金星による日食を観測し太陽との距離を決める事であったというのも意外. 今日の月探検などのように科学的な目的であったのだ. しかし,もうひとつの極秘指令書があって,そこには英国王の名で新発見の土地で領有宣言をしてくるようにと書いてある. 政治的な目的があることも現代と同じ.

古風堂々数学者 (2003.5)
藤原正彦,新潮社
例によってまことに痛快. フェルマーの定理の証明は誰も読めないがこの本は読ませる.

ソクラテスの弁明 (2003.4)
プラトン,田中美知太郎訳,(世界の名著)中央公論社
本棚の片隅に会った文庫本を読もうとして,あまりの悪訳に閉口,図書館でこの本を借りてきて読んだ.昔読んだときにはほとんど印象に残らなかった本だが,読み直してみれば新鮮.

葬送 (2003.4)
平野啓一郎,新潮社
ショパンとドラクロワの名前にひかれて読んだが,よく研究してあり面白い.

旧石器遺跡捏造 (2003.3)
河合信和,文春新書
これはすごい事件である. 物理学でノーベル賞をとったくらいの研究をしても教科書は変わらない. 藤村新一という人物は詐欺で教科書を書き換えてしまった. 最近の物理学でのシェーンの詐欺事件やソーカル事件などとあわせて,研究者の倫理や学会,学術誌の水準の問題を分析する必要がありそうだ.

絵本 即興詩人 (2002.12)
安野光雅,講談社
鴎外の翻訳を引用し,それに安野光雅が現地の絵と解説を添えたもの. 即興詩人は読みかけて挫折した本のひとつだが,美しい文章のさわりとイタリアの風景を堪能させてくれる.

海辺のカフカ (2002.11)
村上春樹,新潮社
面白いが後半はやりすぎ.「世界の終わり...」のほうがずっといいと思う.

博士の異常な愛情 (Dr. Strangelove) (2002.10)
Stanley Kubrick
久々に見たが(もちろんビデオで)やはり傑作. 昔見たときはせりふが分からないところが多かったが,日本で見れば字幕つき. 英語の勉強にもなって楽しい.

日本沈没 (2002.10)
小松左京,光文社
古い本で,出たときにはどうせ荒唐無稽な話と思っていたが, 20年後に読んでみるとなかなかリアリティーがある (とくに関西大震災,トゥウィンタワーの崩壊など小規模なカタストロフを経験したあとでは).

指輪物語 (2002.9)
J. R. R. トールキン,瀬田貞二訳; 評論社
全6巻,やっと読んだ. すなおに楽しめる本.

ローマの街角から (2002.8)
塩野七生,新潮社
はっきり言ってこの著者の考え方は嫌いである. しかしこの人の本は割りによく読む. 歴史と人間に関する観察は鋭い. マキャベリに会えたのもこの著書のおかげ.

ビューティフル マインド 天才数学者の絶望と奇跡 (2002.7)
シルヴィア・ナサー/著,塩川優/訳
映画の元になった伝記を読んだ. うーん,やはりこちらが本物.よく調べたものだ.

科学者の自由な楽園 (2002.5)
朝永振一郎(江沢洋編),岩波文庫
「朝永振一郎著作集」からの抜粋. 久々に朝永さんの本を読む. 科学者の姿勢,教育のことなど朝永先生の洞察は深く,学ぶところの多い本だ. 後ろのほうに載っている海外旅行記は落語の名演を聴いているようで楽しい.

ビューティフル・マインド (A Beautiful Mind) (2002.4)
暗号解読を神秘化した嘘っぽいところが少し気になるが,こういう精神を病んだ数学者などというテーマを面白く見せてくれるところはハリウッド映画.

ロード・オブ・ザ・リング (Lord of the Rings) (2002.4)
これはという本がないので映画なども書くことにする. 本を読むつもりだったが先に映画を見てしまった. (多分)原作の雰囲気をあまり壊していないSFXが美しい. しかし最近の洋画は何故みんな題名がカタカナなんだろう. 「指輪物語」のほうが良い. 「モンスターズ・インク」と聞いて「Monsters, Inc.」とわかる日本人がどれだけいるのか. (原書の表題は「The Lord of the Rings」.この辺の微妙な違いはまったく分からない.)

科学と科学教育の源流―いたずら博士の科学史学入門 (2002.1)
板倉聖宣,仮説社
ボイルやフックなど英国「王認」学会誕生のころの科学の研究と普及がどのように行われたかを紹介している. 当時,学校教育とまったく関係なく,科学実験のデモと解説をやって生計を立てていた人たちがかなり存在したということに驚く. 教えるほうも学ぶほうも,この原点に立ち返る必要があるのかもしれない.

ホビット---ゆきてかえりし物語 (2001.12)
J. R. R. トールキン,山本史郎訳; 原書房
ハリーポッターも悪くないがこちらのほうがファンタジーの香りが高い. ストーリーの展開は,FFなどのRPGはこちらに近いのだが(息子ははまっているが私はやりません.念のため). 「指輪物語」に進みたいけれど,地下鉄の中の読書ではあのボリュームはつらい.

同じ年に生まれて (2001.11)
小沢征爾,大江健三郎; 中央公論社

The Pleasure of Finding Things Out (2001.7)
Richard P. Feynman; Penguin Books
Feynmanの一般向けの講演やインタビューを集めたものだから面白くないわけがない. 多少わからないところはあってもぜひ英語版で読みましょう. 生き生きとした語り口を日本語で再現するのは難しいので.

小数ができない大学生 (2001.6)
岡部恒治,戸瀬信之,西村和雄; 東洋経済新報社
同じ編集者による「分数ができない大学生」とあわせて読むと,文部省の学力低下政策の問題点と深刻さがよくわかる.

中坊公平・私の事件簿
中坊公平,集英社新書




アルバム


2015/09/14 ついにクマも逝ってしまった. 高齢で7月から水も満足に飲めない状態だったが,食欲もかなり回復しひょっとしたら12歳を迎えられるかと思ったのに... 夜中にリンゴをうまそうにかじったのが最後,朝8時25分,静かにに息を引き取った. 今日は,通販で注文した新しいペレットが届くはずだったのに. でも,幸福な大往生だろう.


2014/11/17 一匹だけ残ったクマが11歳の誕生日を迎えた. 病弱だったのにヨタヨタしても今だに食欲だけは旺盛. movie(2014/11/17, 3.64MB)


2014/06/25 ピョンが死んだ. いちばんきかんぼうで最後までなつかなかった. 食欲がなくなったと思ったら数日で行ってしまった. 病気があったようだが(子宮の腫瘍?)気付かなかった.


2014/01/16 ブッチャンが死んだ. 数年前に斜頚となりクビが90度曲がっていたが元気だった. 昨年9月に爪切りに抵抗して暴れ背骨を骨折,それからは半身不随で完全介護状態. 若いころはケージの天井をこじ開けて飛び出すなど手に負えなかったが,病気の世話をしてやってからここ数年はよくなついた. 10年以上生きたから天寿全うと言ってよい.


2013年8月,3年に1回の結晶成長国際会議.
ポーランドに来ることができた. これが最後かもしれない. でも次回は地元だから逃げられないかも.

新旧ワルシャワの印象的な建築 慶大齋藤さんと大学の前で 金沢大佐藤さんと
(新旧ワルシャワの印象的な建築, 慶大齋藤さんと大学の前で, 金沢大佐藤さんと)


2011/01/20 クロが死んだ. フクとメイの子供たちのうち我が家に残った4匹の子供の中で最初の死である. あっという間に半分になってしまった.


2011/01/01 フクが死んだ.10歳近いはず. 年老いても(病でやせ細っていたが)食欲だけは衰えなかった. 元日の朝,食べないと思ったらそのまま倒れて逝ってしまった. このアルバムの最初にかわいい顔を出しているが,最近の姿はやつれていた.


2010/09/01 メイが死んだ.約7歳.調子が悪そうなので医者に連れていくと,子宮ガンで肺にも転移していて手遅れとのことだった. ステロイドで少し元気を回復したが2週間後に死亡. ウサギがみんな年なので覚悟はしていたが,やはり残念.


2010年8月,3年に1回の結晶成長Summer Schoolと国際会議.
旧知の人々に再会. 3年後はポーランド(ぜひ行きたい),6年後は日本だ(これはうれしくないが,仕方ないか.もう引退してるな).
ISSCG14 lecturers (塚本さんから頂いた写真)
Vliegさんde Yoreoさんと 二人のお祝い? 朝食 (Vliegさんde Yoreoさんと,二人のお祝い?,合計130円の朝食)


このページを開いたころは子供だったフクもかなりの年になる. 子供たちとともにまだ元気. movie(2008/03/02, 4.8MB)

フク近影(2009/03/06). フク

2006年3月,工学部の佐藤先生のプロジェクトでHelsinki工科大学を訪問し,そのあと日蘭合同結晶成長シンポジウム(JANE2006)に参加した.

アールトの設計になる大学のキャンパス(2006/03/08). ウスペンスキー大聖堂.同行の佐藤先生と海上を歩く(2006/03/09).
JANEの会議風景(2005/03/14).
HUT campus Cathedral on the sea JANE2006 conference


2005年1月,Singapore大学で行われた会議に参加した.
( Workshop in National University of Singapore)

大学のキャンパス(建物は学生寮)と参加者(2005/01/12). NUS campus (original, 401KB) Participants (original, 356KB)
会議の後,NUSのLiuさんの研究室を訪問(2005/01/14). Liu's group(original, 341KB)
NUS campus participants Liu's group


2004年7月末から8月上旬,ベルリンで行われたISSCG12(12th International Summer School on Crystal Growth)とグルノーブルで行われたICCG14(14th International Conference on Crystal Growth)に参加した.
(Participation in ISSCG12 in Berlin and ICCG14 in Grenoble)

マルセーユの結晶成長研究所でお世話になたケルン夫妻とメトワ夫妻(2004/08/9,8/1).
(Mr. and Mrs. Kern in ICCG, Mr. and Mrs. Metois in the reception of ISSCG) Kern(original, 368KB) Metois(original, 386KB)
Mr. and Mrs. Kern (center and right) Mr. and Mrs. Metois

ICCGでの講演とポスター発表(クルークさんに説明する佐藤正英さん)(2004/08/11,08/11).
(poster presentation) Krug and Sato(original, 362KB)
oral presentation poster, M. Sato and J. Krug

夜のカフェで,左から齋藤幸夫さん,ミュラークルンバーさん,上羽,ファンデルウェルデンさん,アインシュタインさん(2004/08/09). 晩餐会での日本からの参加者(のごく一部)(2004/08/12)
(Discussion in a cafe at Place St. Andre) Cafe(original, 346KB) conference dinner(original, 368KB)
Place St. Andre in the garden of Chateau du Touvet

Elsevier出版の主催でSchieber賞のreceptionがありそこでのスナップ.左がICCGの委員長のジャック・ヴィランさん,右がElsevierのJ. Crystal Growthの責任者ドナ・ウィルスンさん.(2002/3/11).
(Chairman Villain and Ms. Willson, Schieber prize reception) schieber reception(original, 372KB)
Chairman Villain and Ms. Willson

今回の会議では豊橋科学技術大学の西永学長がロディース賞を受賞された.そのお祝いの昼食会での西永夫妻(2004/08/13).
(Mr. and Mrs. Nishinaga, Frank prize) Mr. and Mrs. Nishinaga(original, 363MB)
Mr. and Mrs. Nishinaga

私が3番目に長く住んだところ,グルノーブルの街を散歩していたら偶然かつての同僚,ラウエ・ランジュヴァン研究所のザイマンさん一家と遭遇.(2002/3/19).
(Ziman family) close encounter(original, 394KB)
Ziman


フクと子ウサギ(と思っていた)メイのあいだに突然5匹の子供が生まれた(2003/11/17).今のところ4匹が育っている. かわいい.(2003/11/21)
3枚目の写真は生後11日(2003/11/28).
May and babies rabbit babies (11/21) rabbit babies (11/28)
May and babies(original, 386KB), rabbit babies1(original, 418KB) rabbit babies2(original, 405KB)

目も開きかけ動き回るようになった(2003/11/29).movie(2003/11/29, 4.8MB)


2002年3月中旬フランスのグルノーブル大学とマルセーユにある結晶成長研究所を訪問した.
(Visit to France in March 2002)
さいわい大勢の旧知の人たちに会うことができた.

飛行機の窓ガラスにできた2次元の針状結晶とフラクタル結晶(2002/03/10).
(Needle and fractal crystals on the window of the airplane)
needle crystal fractal crystal

シベリア上空を飛ぶ飛行機から,ステップの蛇行ではなくて大河の蛇行を観察した(2002/03/10).
(Wandering of a Siberian river)
wandering river 1 wandering river 2

グルノーブル大学のミスバーさん,ピエールルイさん(左は慶応大学の齋藤さん; 2002/3/11).
(Grenoble University) Misbah(original, 367KB), Pierre-Louis(original, 385KB)
Misbah Pierre-Louis

ラウエ・ランジュヴァン研究所で.右からザイマンさん,ノジエールさん,カペルマンさん,ザイマン夫人,齋藤さん.右の写真はカッツさんと(2002/3/14).
(Institut Laue-Langevin) at ILL(original, 372KB), Kats(original, 394KB)
at ILL Kats

マルセーユの結晶成長研究所にて.メトワさんの実験室で(2002/3/18).ケルンさん(2002/3/19).
(CRMC2) Metois(original, 359MB), Kern(original, 400KB)
Metois Kern

結晶成長研究所のあるマルセーユ大学リュミニキャンパスの近くを散歩.30分ほど歩くとカランクを見下ろすこんな場所に出る(2002/3/19).
(30min walk from CRMC2) Calanques(original, 406KB)
Bellvedre near Calanques


2001年の夏休みにWien大学に行き有名人に「会う」ことができた.

Ludwig Boltzmann Erwin Schroedinger Schroedinger+tourists

フク(わが家のウサギ,2001/12).

フク1 フク2 movie(2002/4, 4.7MB)

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