(最終更新 2006/01/10)
world year physics

講義: 統計物理学 II (前期,3年生)


授業についての質問,意見などは

講義ノートの要約

講義の要約のpdfファイルです(受講者のための資料).
  1. 目次,5.1-5.4 (pp.1-11) (pdf file, 79KB)
  2. 6.1-6.4,公式 (pp.12-25) (pdf file, 107KB)
  3. 6.5-7.4(pp.26-38) (pdf file, 1356KB)
  4. 8.1-8.4(pp.39-52) (pdf file, 5336KB)
  5. 8.5-9.3(pp.53-64,修正版) (pdf file, 116KB)
  6. おまけ「アインシュタインとブラウン運動の理論」 (pdf file, 78KB)
Pdfにスキャナーでとった図を載せるとファイルが馬鹿でかくなる. 誰か手間のかからないうまいやり方があったら教えてください.

講義日誌(時間反転)

2006年1月10日
 昨年12月26日に追試験を実施. 未履修者52名,受験者18名. 結果は,合格者(50点以上)6名,未定者(30-45)5名,不合格者7名. 個別の判定はここには書けないので事務室前の掲示を見てください. 未定者はレポートのより判定を行うので1月中に提出してください.



得点分布図

2005年8月5日
 期末試験結果.
 5点単位で採点した. 配点は問題に書いたとおり120点満点. 5 は書いた人は5点,10点をもらった幸運な人も数名いる. 平均点45点で得点分布はグラフのとおり. 65点以上を「優」,40点から60点までを「良」,30点と35点を「可」,30点未満は「不可」とした. 「不可」の者に対しては 2005年度後期中に(たぶん年末に)再試験を行いますので必ず受験してください.
採点した答案は来週になってから事務室で返却します.
 少し難しいようにと思って出したが,2の(a),(b),3がほとんどできていなかったので,予想以上に得点が低く,合格ラインを下げた.


2005年7月28日
 期末試験を実施. 受講登録者102名,受験者84名,欠席18名.



2005年7月21日
 第15回.量子統計の基礎,フェルミ粒子とボース粒子の波動関数,グランドカノニカル分布を使っての理想気体の分布関数の導出.
 今日で最後.暑くなったせいか2週続けて出席者が少ないような気がする.

2005年7月14日
 第14回.アインシュタインのブラウン運動の論文の紹介.
 今年は世界物理年.アインシュタインの奇蹟の年から100年目にあたる. 1905年にアインシュタインは,ノーベル賞の対象になった光電効果の論文,ブラウン運動の論文,そして特殊相対性理論の論文を発表した. ブラウン運動の論文は原子の実在性を証明するペランの実験を呼んだだけでなく,平衡状態のゆらぎと関係した拡散係数と非平衡定常状態の粘性係数を結びつけた点でも画期的な仕事です.

定期試験日程の変更
実験と重なってしまったため次のように変更します. 7月28日(木) 10:30- B5講義室にて

van't Hoff
van't Hoff

2005年7月7日
 第13回.化学ポテンシャルと浸透圧,希薄な2成分系での相平衡,化学平衡の条件,質量作用の法則. アインシュタインのブラウン運動の理論の歴史的背景.
 希薄溶液の化学ポテンシャルの応用は広い.いろいろな物理化学的な法則が簡単に説明できてしまう. ファントホフは第1回のノーベル化学賞の受賞者である.  後半から世界物理年記念でアインシュタインの業績の紹介を.続きは来週.

講義ノートの訂正
P.57,(3)式,ルートのなか,分子は1に,分母は:N ! --> N ! N1 ! N2 ! ....

2005年6月30日
 第12回.ファンデルワールスの状態方程式とマクスウェルの規則,ファンデルワールスの状態方程式の臨界点, 混合理想気体の化学ポテンシャル,希薄溶液の化学ポテンシャル
 ファンデルワールスの状態方程式はよく調べるといろなことが分かる. 相転移のダイナミクスも話したくなるが,がまんがまん.
 最後の講義ノートを配布. 大分出席が少なくなっている. 60人を切っているようだ. 講義ノートを配るのがよくないのかな?



2005年6月23日
 第11回.相平衡の条件,単純な物質の相図,クラウジウス・クラペイロンの式,ギブスの相律.
 進度に余裕が出たので昨年は量子統計のはじめのところまでやってしまったが,今年はゆっくり進もうと思う. 少しは学生に質問でもしてインタラクティブにしよう.



2005年6月16日
 第10回.グランドポテンシャルの微分,熱力学ポテンシャルのルジャンドル変換と分配関数のラプラス変換,グランドカノニカル分布での理想気体,グランドカノニカル分布での粒子数の最頻値.
 グランドカノニカルアンサンブルについての基礎的な話はあと来週にまわした粒子数のゆらぎの話で終わる予定. そのあとは熱力学をふくめた相平衡などへの応用の話にうつる.
 梅雨に入り雨でうっとうしい.出席も大分少なくなって疲れた顔の人が多い.こちらもつかれる. ムム気を引き締めなければいけないな.

2005年6月9日
 第9回.2原子分子の回転(量子論),2原子分子の振動,グランドカノニカル分布の説明,大分配関数.
 昨年に近いペースで進んでいるので量子統計までやろうと思わなければ充分余裕がある.
 先週行った統計Iの再試験の結果は,合格13人,不合格7人,保留2名.事務室前に掲示してあります.



2005年6月2日
 第8回.量子的常磁性体,2準位系と負の温度,2原子分子の回転
 昨年度の統計Iの再試験は本日午後に行います.

講義ノートの訂正:  P.33,(32)式:D --> M



Langevin
Langevin
2005年5月26日
 第7回.ヴィリアル定理とPV項,調和振動子のエネルギーと比熱,古典的常磁性体.
 Langevin関数のポール・ランジュヴァンは磁性やブラウン運動の研究で有名なフランスの物理学者. 第2次世界大戦中ナチスの収容所から脱出しレジスタンスで活躍した.



Clausius   
Clausius
2005年5月19日
 第6回.ヴィリアル定理のミクロカノニカル・アンサンブルとカノニカル・アンサンブルでの証明,ヴィリアル定理の応用-エネルギーの等分配則,同次関数ポテンシャル.
 力学の長時間平均を使ったヴィリアル定理はクラウジウスによって1870年に導かれた. ヴィリアルと呼ばれている量は分子間相互作用の効果を表し,気体の状態方程式で現われたヴィリアル展開と関係している.

講義ノートの訂正
P.27,(78)式の右辺にマイナスをつける



Laplaceの切手
Laplace
2005年5月12日
 第5回.カノニカル・アンサンブルのとミクロカノニカル・アンサンブルの関係.
  カノニカル分配関数と状態密度がラプラス変換で関係付けられていることを話したが,ラプラス変換をほとんどの人は知らないようだ. 数年前に数理物理学の演習を担当したときにラプラス変換が入っていたはずだが,担当者が変われば内容も変わるのだ. ラプラス変換はすぐに使うことはないし数学的な内容なので結論とその意味だけを述べた. カノニカル分布でのエネルギーの分布がミクロカノニカルのエネルギー,あるいは平均エネルギーを最大とする鋭い分布になることの説明. 次回にエネルギー分布の具体的な形を調べる.



2005年4月28日
 第4回.カノニカル分布導出の復習と問題点の指摘,理想気体のカノニカル・アンサンブルによる記述,相互作用のない系の一般論. 統計力学の立場からアンサンブル平均としていろいろな物理量(エネルギー,エントロピー)が計算できること.
 今日は物理学概論と連続だったので疲れた. 午後はすぐ会議,さらに疲れそう.

統計物理学I (2004年度) の再試験会場の変更: 6月2日(木)13:30-15:00 理学館大講義室(この講義をやっている部屋)

久保亮五(AIPより)
Kubo

2005年4月21日
 第3回.閉じた部分系の分布がカノニカル分布となること,それがエネルギーの期待値だけを指定したときの最も尤もらしい分布であること.ラグランジュの未定乗数 β が期待通り温度の逆数であること.
小林晃人さんの作ったシミュレーションのデモンストレーションをやった. とても教育的なシミュレーションなのでぜひ各自体験してください. 
pi ∝ ΩR(E-Ei) はカノニカル分布の核心ですから自分で納得するまで考えてください.

講義ノートの訂正: 
P.13,最終行の W を ln W に.
P.14,(10)式,2行目のΣ を削除.

統計物理学I (2004年度) の再試験: 6月2日(木)13:30-15:00 理学館506

授業後の質問: Callenの教科書にカノニカル分布のいろいろな関係がまとめて出てくる導出法があったが,これでよいのか?
答え: 次回検討しましょう.
授業後の質問: 演習問題の鎖のエネルギーと力の関係が分からない.
答え: このモデルは分子の運動エネルギーも曲げたことによるポテンシャルエネルギーの上昇も無視したものですが(だから内部エネルギーはなし),ゴム弾性の本質を示したものです(久保先生によって先駆的な研究がなされた). 縮んだ状態のほうがエントロピーが大きく,有限温度ではそれを引き伸ばして状態数を小さくするのに外力による仕事が必要なのです.



2005年4月14日
 第2回. ミクロカノニカル・アンサンブルがエネルギー一定で最も尤もらしい分布であること,ミクロカノニカル・アンサンブルでのエントロピーと一般の分布への拡張,ミクロカノニカル・アンサンブルでの計算例(理想気体と調和振動子).

授業後の質問: レポートの問題で計算して出てきた関数のグラフの形が分からない.
答え: 講義でやった調和振動子の例のように高温と低温の極限値とそこへの近づき方を調べれば,単純な関数なら様子は分かる. どうしても分からなければ数値計算が計算機が手軽に使える今は簡単にできる.



Ehrenfest(準エルゴード仮説の提案者)    

Ehrenfest 2005年4月7日
 第1回. 講義の進め方についての案内. アンサンブルの概念,ミクロカノニカル・アンサンブル,エルゴード仮説,リューヴィル の定理,定常状態の分布の条件.
 最初に統計Iの試験の答案を返却. 答案返却数から判断すると出席者は74人. 学年定員が90人で最終的に何人の人が卒業するのかなどと,試験をやるといろいろ考えてしまう.
 この講義室は,本来講義室用に設計されていないので,黒板,教壇が小さく,部屋が縦長で使いにくい. それでもマイクの設備が整ったので(今日注意されて知ったのだが)少しよくなった.
 講義で言い忘れたが統計物理学Iの追試はできれば名大祭のころにやりたい

授業後の質問: リューヴィルの定理の出発点となった式の意味がよく分からない.
答え: 講義ではイメージが浮かぶように流体とのアナロジーを使ったのですが,流体力学をまだ学習していないようなのでピンとこなかったかも知れない. 出発点は電磁気学で現われた連続の式と同じもの. 電流にあたるのが,代表点の流れで j = r v . 連続の式はある場所の粒子の数は,勝手な生成消滅がないとすれば,その場所を囲む領域の出入りを数えれば分かるという主張. 流体の言葉でいうと,最後の式は非圧縮性の流体は流体と一緒に動いていくとその密度が変化しないということを意味する. 次回,補足の説明をします.





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