(最終更新 2003/9/30)
授業についての質問,意見などは
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理学部情報サテライト室からpdfファイルを見るために
講義の要約のpdfファイルです(pdf化による若干の文字化けあり).
要点のメモと補足的な内容が書いてあります.
リンクをはずしました.新年度のページに新しいノートを順次載せますのでそちらを見てください(2003/9/30).
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目次,0, 1.1-1.3 (pp.1-8,訂正版)
(pdf file, 74KB)
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1.4-1.7 (pp.9-16)
(pdf file, 80KB)
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2.1-2.4 (pp.17-24)
(pdf file, 66KB)
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2.5-3.3 (pp.25-32)
(pdf file, 81KB)
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3.4-3.8 (pp.33-40)
(pdf file, 89KB)
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4.1-4.5 (pp.41-49 図なし)
(pdf file, 113KB)
4.1-4.5 (pp.41-49 図の入れ方が悪く無駄に大きい)
(pdf file, 1048KB)
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数学公式
(pdf file, 34KB)
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年表
(pdf file, 9KB)
11月20日配布の講義についてのアンケートの結果(ここをクリック).
2003年2月18日
期末試験と成績についての補足:
約50点以下のひとは「不可」としました.2003年度前期中に追試験を行いますので必ず受験してください.
採点した答案(添削はしていない)は事務室で返却します.
2003年2月17日
期末試験結果.履修登録数97名,出席89名.
甘く採点した.採点誤差はプラスマイナス2-3点.
平均点71点で得点分布はグラフのとおり.
約85点以上を「優」,約60点から約80点までを「良」,約55点を「可」とし,約50点以下は追試験を行う(本当はあと5点ずつ基準を上げたいところだが...).
内容的には1の(g)と(h),および2のできが悪い.
仕事をせずに熱の出入りもないので内部エネルギーは一定(理想気体だから温度も不変).
これは不可逆過程なので途中の状態のエントロピーは熱力学的には定義できない.
ただし最終状態は熱平衡に達するので状態量であるエントロピーは定義される.
このことは準静的過程でエントロピー変化が途中の道筋によらないこととはまったく別です.
2003年2月5日
期末試験.履修登録数97名,出席89名.
現在採点中.とりあえず解答例を載せます.
期末試験解答例(リンク解除)
まだ成績の基準ははきり決まっていないが,50点以下の人は追試を覚悟しておいてください(不可よりいいでしょう).
Sommerfeld and Bohr
2003年1月29日
第14回(補講),位相空間の体積と微視的状態数の関係の補足,理想気体の統計力学的エントロピー,理想量子気体の分布関数.
1次元の箱と調和振動子を例にボーア・ゾンマーフェルトの量子化条件の話をした.
教科書には,位相空間の超曲面の面積を s(E) としているがこれは誤り.
面積にするには |grad E| をかけることが必要.
エントロピーを計算するために重要なのは面積ではなくて s(E) です.
残りの時間では統計物理学IIIで詳しくやる予定の量子理想気体の話を少しした.
少し飛躍が大きいと思うが,3年の物性の講義を聞くときに何も知らないと分かりにくいのでお話だけしておきました.
板書の訂正: Ω(E) を E で微分したときに 2m が落ちていた.
したがって対数をとったときには ln(DE/E) となって,この項を無視する.
そもそも対数の中が無次元になっていないのはおかしかったですね.
来週は試験です!
講義の内容を理解し,演習問題を(とくに物理学演習の時間にやったもの)をしっかりやっておけば心配はありません.
Good Luck!(運に頼るこの英語的な姿勢はよろしくない)
教科書と授業の対応表(IEでは見えないかもしれない,どうでもいい内容です.)
Gibbs
2003年1月22日
第13回,理想気体の統計力学的エントロピー,ギブスのパラドックス,状態数の量子力学的数え上げ.
量子力学がわれわれの物質観に与えた影響の重大性の最も感じられるところ.
統計力学の基本的な思想は古典論の世界から生まれたが,その本当の理解には量子力学的世界観が必要になる.
それは微視的状態が離散的であること,同種粒子が本質的に不可分別性をもっていることだ.
予定範囲は大体終わったが最後のところが充分説明できなかったので,来週の補講に回します.
来週は,そのほかに量子理想気体の話(これは統計物理学IIIで詳しくやる予定なので簡単な紹介だけ)と半年の講義の全体の範囲で質問に答えます.
授業後の質問: 教科書や講義では,エントロピー増大の法則とは孤立系でエントロピー変化が正になるということだったが,断熱系で同じことが成り立つと書いてある本がある.
答え: 教科書にあわせて孤立系としたが,よく考えてみると断熱系という条件でよさそうです.もちろん孤立系も断熱系の一部だから,孤立系でも成立します.
熱力学を論理的にしっかり学びたい人のために,最近出版された田崎さんの「熱力学---現代的な視点から」がこのテーマを深く研究した名著です(私は拾い読みしかしていないが).ただし相当難しいので,初学者には勧めません.
Nernst
2003年1月15日
第12回,熱力学的安定性とルシャトリエ・ブラウンの原理位相空間の体積と微視的なエントロピーの定義,熱力学の第3法則.
ここはミクロとマクロをつなぐ大事なところ,しっかり理解しておいてください.
寒くなってから授業開始時の出席者が減っているようだ.
終わるころになるといつの間にか増えている.
講義は最初を逃すと全体の流れが捉えられないことが多いのでがんばって早起きしよう.
講義ノートの訂正:
P.37,l.6:U(T,V) は U(S,V).
P.39, l.9:添え字の 0 はすべて 1 に.
P.39, l.10:T1 は T2,T0 は T1,V0 は V1.
P.39,l.13:等温膨張率は熱膨張率.
P.39,l.17,24:ファンデアワールス状態方程式の a と b の前の符号が逆.
Gibbs
2003年1月8日
第11回,各種熱力学ポテンシャルの関係のまとめ,マクスウェルの関係式,ヤコビの行列式,ジュールトムソン効果.ボルツマンの公式と熱力学の第3法則.
熱力学もここまでやるといろいろ計算ができて役に立つようになる.
(しかし演習の時間は残り一コマ.)
気体の膨張についていろいろ出てきたが(準静的等温膨張,準静的断熱膨張,不可逆的断熱膨張,ジュールトムソン過程),その違いがはっきり分かれば熱力学が大体分かっていることになるでしょう.
ギブスの肖像を出していなかったので今回載せます.
今日は出席者が急に減ったような気がする.講義ノートの配布数からすると50人くらいか.講義に出てこないのはかまわないが,単位を落としたりすることのないよう勉強はしっかりやってください.
次回からは,統計力学の話しに入るので,脱落気味の人には復活のチャンスです.
講義ノートの訂正:
P.37,l.6:U(T,V) は U(S,V).
P.39, l.9:添え字の 0 はすべて 1 に.
P.39, l.10:T1 は T2,T0 は T1,V0 は V1.
P.39,l.13:等温膨張率は熱膨張率.
P.39,l.17,24:ファンデアワールス状態方程式の a と b の前の符号が逆.
Kamerlingh Onnes
2002年12月18日
第10回,ルジャンドル変換による各種熱力学ポテンシャルの導入:ヘルムホルツの自由エネルギー,エンタルピー,ギブスの自由エネルギー.単原子理想気体の例.
いろいろなポテンシャルに対し同じような議論が繰り返されますが,要は
1) 適切なポテンシャルを適切な独立変数で表せ.
2) いろいろな変数が一定の条件で進む不可逆過程は対応する熱力学ポテンシャルが減少する方向に進む(この議論の元になるエントロピーだけは逆だが).
ということです.
授業後の質問: ヘルムホルツとかギブスとかの名がつけられているが,ルジャンドル変換で出すのなら一人の人がみんな見つけてもよいのではないか?
答え: 確かに後から整理してみれば同じ数学的変換だが,実際にはいろいろな人が苦労して新しい物理量を導入したのでしょう.
先ほど文献を調べたところ,次のようなことらしい.
1875年から1878年の不均一な系の熱平衡を論じた論文の中で,ギブスは F,G,H の三つの熱力学的ポテンシャルと化学ポテンシャルを導入した.
1882年ヘルムホルツは等温変化の際の有効エネルギーとして F=U-TS を自由エネルギーと名づけた.
1909年にカマリン・オンネス(ヘリウムの液化を実現し低温物理学を創始した人物:1913年ノーベル物理学賞)がエンタルピーと命名した.
(ううん,やはりギブスが最初か.ギブスはすごい.)
Kelvin
2002年12月10日
第9回,熱力学ポテンシャルとしてのエントロピーとエネルギー,ルジャンドル変換,ヘルムホルツの自由エネルギー.
ここから先の部分をやらないと熱力学の演習問題が作れない.
いろいろな熱力学ポテンシャルの扱いはある意味で数学的な技術だが,その構造をよく理解しないと偏微分記号に目を回すだけになるので要注意.
配布した講義ノートの残り部数から勘定すると出席者は65名ほどか.
受講登録者は90名以上いるはずなので少し心配.
授業後の質問: 気体を真空中に膨張させるときのエントロピー変化を可逆過程として計算してよいのはなぜか(演習問題17).
答え: 真空中に膨張する場合は途中の過程は圧力も定義できず (V, P) 図上には表示できない.しかしエントロピーは熱力学的な状態を指定すれば決まる量(状態量)なので,任意の可逆過程で最初の状態と最後の状態をつなげば計算することができる.
2002年12月04日
休講.
補講は一応1月29日(水)としておきます.
できるだけやらずに済ますようにしますが,やらない場合には質問に答える時間にするつもりです.試験はその次の週,12月5日(水).
Euler
2002年11月27日
第8回,スターリングの公式,大域平衡と局所平衡,ギブスデュエムの関係式.
スターリングの公式を鞍点法による積分によって証明した.
展開を高次までやれば補正項も求められる.
この公式は簡単で驚くほど精度もよく頻繁に使われるので覚える必要あり.
U=TS-PV+mN の関係はEulerの方程式と呼ばれているらしい.
Eulerは全盲の天才数学者で物理関係の仕事も多い.
この式の証明に使われたのは同次関数についてのEulerの定理である.
これを使っての化学ポテンシャルの計算は講義では結果を書いただけだが,教科書に載っているので各自確かめておくこと.
次の講義ノートを載せました.
授業についてのアンケートの結果もそのうちここに載せます.
大事なことを言い忘れた!:来週は休講となります.
講義ノートの訂正:
P.29,l.17,18:エントロピーの表式の対数の前の T は余計.
Clausius
2002年11月20日
第7回,熱力学の第2法則とその微視的な意味について.
ボルツマンのH定理やその量子力学版についての説明をした.
位相空間についてあまり知らないようなのは意外.
統計力学との関連では大事な概念なのでしっかり身につけてください.
パウリ方程式を使ったH定理の証明をやったが,量子力学をまだ充分勉強していないでしょうから消化不良になるかもしれないが,感じをつかんでもらえれば結構.
講義と演習問題についてのアンケートを実施した.
当日回収数は37,プリントの配布数から判断すると70名くらいが出席したはずなので大分少ない.
未提出者は意見を書いて,私の部屋の前の袋に入れておいてください.
講義ノートの訂正:
P.25,s を「衝突断面積」と書いたが,
正確には「衝突断面積に関係した量」(分子の速さにも比例している).
P.27,l.7:3N は 6N の誤り.
P.24,l.6:NkBln P の前の係数はマイナス.
Carnot
2002年11月13日
第6回,カルノーサイクルとエントロピー.
カルノーサイクルの説明の途中で V2/V1=V3/V3 がすぐに出てこず一瞬戸惑う.
要点は講義ノートに書くようにしているが細部を忘れると講義時間の無駄になる.
聞くほうの立場から言うと,時々止まってくれたほうが考える時間ができていいかもしれないが...
講義ノートの訂正: 授業中にも直したが,細かいミスプリが目立つ.
P.19,各過程の番号を1,2,3,4,からI,II,III,IV に.
P.19,l.6:分母の P1 はP2.
l.16:V2 は V3.
P.21,l.10:dQ1 は DQI.
P.22,l.14:ふたつの d を両方とも D に.
授業後の質問: 熱力学の関係は厳密に成り立つように見えるが,箱を2等分したときの粒子数など本当はずいぶん1/2から外れるのではないか?
答え: 熱力学のいろいろな関係は,無限にゆっくりした極限,無限に大きな系など理想化した極限で成り立つもの.
現実には揺らぎがあるが,揺らぎの大きさは粒子数 N の平方根の程度で, N に比例する物理量との相対誤差は N-1/2 なので無視できる.
粒子数がたった1万個でも誤差は1パーセントに抑えられる.
Helmholtz
2002年11月6日
第5回,可逆過程と不可逆過程,断熱過程と等温過程の違いをていねいに説明.
熱力学の第1法則,理想気体の断熱変化と等温変化.
11月1日の演習の内容を今日やることになってしまった.
この講義は今年度が最初で進度の予想が難しいのと,なかなか予定通りに進めないのが原因.
できるだけこういうことのないようにしたい.
(講義でやった範囲外のことが演習問題で出たら,演習の先生にその旨言ってください.)
プリント配布数から推定すると出席者は70名ほど.
授業後の質問: 理想気体の断熱変化の式は分子運動論が基礎になっているように見えるが,分子運動論なしではだめか?
答え: 経験的に分かるのは,現実の気体で状態方程式 (PV = AT: Aは物質によらない示量定数) が近似的に成り立つことと,定積比熱がほとんど温度だけの関数だということ (dU=CV(T)dT) でしょう.これから講義でやった方法で S(CV(T)/AT)dT=-ln(V/V0) (文字化けがおきるようなので積分記号はシグマで代用)がでてくる.
もしCVが温度によらなければ
(T/T0)a = V/V0,ただし a=CV/A は比熱で決まる定数.
この定数が単原子分子で3/2 (2原子分子では5/2) になることを主張するには分子運動に関する知識が必要です.
van der Waals
2002年10月30日
第4回,混合気体の話の訂正,SI単位系の話,熱容量,ファンデルワールス状態方程式とヴィリアル展開,不可逆過程,準静的過程の意味.
講義の前日に受けた質問のおかげで,演習の進度に追いついていないことが判明.
急いで進んだが,なかなか予定通りに行かない.
理想気体の等温変化,断熱変化については教科書の例1.3,例2.2などを参照してください.
講義ノートの訂正: P.13ファンデルワールス方程式でVがひとつ余分.下から5行目V(T,P)はv(T,P).P.15で「非可逆」はほかにあわせて「不可逆」に.
混合気体の部分の修正は,講義ノートのpdfファイルを入れ替えました.
Boltzmann
2002年10月23日
第3回(講義後すぐに出張だったため日誌記入が遅れました),ボルツマンの測高公式とマクスウェル分布の導出,2種の混合気体での熱平衡の条件.
原論文(といっても残念ながら東海大学出版会から出ている翻訳です)眺めてみると速度分布を導くマクスウェルの議論は簡明で感銘をうける.
19世紀の半ばにこれだけのことが分かっているのに,分子運動を証明するアインシュタインのブラウン運動の理論やぺランの実験までの道のりは長い.
次回から話す予定の熱力学の歴史や統計力学建設のボルツマンの苦闘は,朝永振一郎の遺稿「物理学とはなんだろうか」(岩波新書)に詳しく説明されている.
ぜひ読んでみてください.
講義ノートの訂正: 授業中に気づいて直したが,外力の仕事がFAdsとなっているのはFdsの誤り.
また,ちゃんと復習した人は気づいたと思いますが2種の原子の衝突の議論に誤りがありました(ここに一時載せたミスプリではない).
10月30日の講義で訂正します.
Maxwell
2002年10月16日
第2回,温度の測定法(希薄気体,黒体輻射),理想気体の状態方程式と気体分子運動論.
熱力学の話に分子運動論を割り込ませるのは邪道だが,
この方が理解しやすいし,現代人は原子論は幼児(?)のときから身についているので,
こうする.
気体分子運動論を開拓したのはMaxwell(写真)で,ボルツマンが空間変換のある場合に拡張したボルツマン方程式を導き,統計力学の一般論への道を拓いた.
ていねいにやっているとなかなか進まず,予定よりだいぶ遅れている.
90部印刷したノートが数部あまったので出席者は85名ほどか.
前回より10名近く多い?
授業後の質問: 教科書p.14,第2段落(今回の講義の範囲外だが)の「参照圧力」の意味が分からない.
答え: ピストンの反対側にかかっている圧力のことのようです.
この本を読んでいると(どの本でもそうですが)たまに意味不明の文がある.
ここは無視しても良いでしょう.
たとえば,ノートでも指摘したが(1.11)式は成り立つとは思えない.
気づいた点があったら教えてください.
できるだけ講義の際に解説します.
2002年10月9日
第1回.
授業の進め方の説明と序論,熱力学の第0法則まで.
講義ノートと年表をプリントで配る.
Webに掲載するだけにしようと思っていたがインターネットの常時利用者は半分以下のようなので,当面はプリントを配る予定.できればそのうちプリント配布はやめたい.
授業後の質問: 教科書は統計I-IVでずっと使うのか?
答え: 統計IIまでは私が担当する予定なのでこれに沿って講義を進めます.
この本の内容は統計IIIまでのほとんどの内容をカバーしていますが,
統計IIIの部分はこの本(の第3部)の定式化がかなり高度なので教科書として使われることになるかどうか分かりません.
(しかし勉強して損はない!)